| タイトル:『仮面ライダーSPIRITS』 著者:村枝賢一 掲載:マガジンZ 単行本:3巻まで(2002年10月現在、他ファンブック1冊) |
仮面ライダーSPIRITS公式ファンブック「受け継がれる魂」が発売されている現在こんな素人のレビューが必要かどうか、非常に疑問ですが、なんとなく劇場版龍騎を見たら書きたくなってしまいました。お付き合いください。
未だにライダーを引きずっているオールドファンならば誰もが一度は夢みたであろう、「テレビシリーズの『仮面ライダー』の忠実な漫画化」。それを実現されたことによるやっかみ気分もあり、連載開始当初はあまり好ましく思っていなかったのですが、単行本で読むとやはりよく出来ています。
ダブルライダーと滝との再会、更にX、ストロンガー等いわゆる第1期ライダー達と滝との初顔合わせなど抑えるべきところをしっかり抑えてありますし、嫌味にならない程度にマニアックな部分も加味してある(Xの変身がセッタップ変身ではなく大変身であるとかアマゾンがガガの腕輪を隠し持っているとか)のも良いです。
しかし、不満もないわけではなく、まず、第一に変身前ならともかく、変身後のライダーがボロボロになって血を流すところです。
複眼が割れたり等とても自然治癒しそうにないダメージシーンが多いこと。
個人的にこの作品のコンセプトは前述したとおり「テレビシリーズの『仮面ライダー』の忠実な漫画化」だと思っているのでマスクやスーツが破壊されるというのはどうも馴染めないのです。
「変身前に大怪我していても変身すれば外見上は怪我はなくなる。ただし、マスクやスーツの下ではまだ傷が直っていないことを示唆する痛そうなそぶり」というのが、自分のライダーの負傷に関するイメージなので。
第二に怪人の扱い。
「過去の組織をあらゆる面で凌駕する究極の戦闘怪人集団 BADAN」ということを強調したいのでしょうが、どの敵も余裕を持ちすぎていて、その割に結構簡単に倒されてしまうあたりが今ひとつな感があります。
せめて、名前が出てくる幹部候補ぐらいはライダーの戦闘能力を見極めて撤退するとかにして欲しかったと思います。
もしくはヤラレ役はヨロイ元帥同様過去の組織の再生怪人にするとか。
ここまで書いて、やっと自分でも気がついたのですが、自分が本当に好きなのは本作ではなく、あくまでテレビシリーズの「仮面ライダー」であり、とはいえテレビシリーズには子供向けであるが故にヌルイ話、諸事情による路線の変更も多いので、そのへんを補正した「理想の仮面ライダー」を本作に求めたのだが、微妙なずれを感じるのでイラつくわけですね、なるほど。
納得したところで以下は各エピソードに対する感想です。
仮面ライダー1号
サブタイトル:「摩天楼の旋風」
舞台:ニューヨーク
敵:蝙蝠怪人(ペトレスク神父)
必殺技:閃光ライダーキック(仮面ライダー第13話で使用)
何といっても立花藤兵衛とともに仮面ライダーを裏から支えた(特に仮面ライダー9〜13話は文字通り支えた)にもかかわらず、V3以降では出番のなかった滝和也の活躍でしょう。
原作版仮面ライダーのプロトタイプである「スカルマン」を髣髴させる変装と、ショットガンの弾を仕込んだメリケンサックによるライダーパンチやスタンガンを仕込んだライダーキックなどがきまっています。
そして仮面ライダー1号 本郷猛との再会。エピローグとしても、また、新たなる闘いのプロローグとしても及第点です。
ところで当HPでも紹介したことがある『もっとすごい科学で守ります』(長谷川裕一 著)は仮面ライダーを含めた石森特撮ヒーローを体系的に纏めた名著なのですが、本作はこの本を加味した上で描かれているような気がするのです。
例えば滝の所属について本編ではFBIとなっていますが、『もっと〜』の中で「FBIとは連邦州警察のことで通常では海外に派遣されるということはありえない」と言及しているのです(自分も気付きませんでした)。
対して本作ではFBIでの実績を買われてインターポールへ出向となっています。
もちろんそれが悪いといっているのではなく、両方読むとより楽しめるということです。
仮面ライダー2号
サブタイトル:「たった一人の戦場(前)、(後)」
舞台:東南アジア(ガモン共和国)
敵:蜘蛛怪人(グィン将軍)
必殺技:ライダー卍キック(仮面ライダー第31話で使用)
本郷猛に続いて、滝と仮面ライダー2号 一文字隼人との再会。
この2号、顔の傷は石森原作版、コスチュームは本編第14話の初登場時の格好、変身後のカラーリングは劇場版スカイライダー以降の深緑のマスクに赤い手袋、ブーツというハイブリッドです。

(「仮面ライダーspirits」1巻P.102より引用)
正義のために生きる。正義のために戦う。
男の子はその言葉だけで泣けてくるんだ。
なお、戦闘員として「ZX」が初登場。2号ライダーと比べてえらく弱いのは素体の違いでしょうか、それとも急ごしらえの為でしょうか。
仮面ライダーV3
サブタイトル:「熱砂のプライド(前)、(後)」
舞台:エジプト
敵:鷹怪人(ベガ)
必殺技:V3マッハキック(仮面ライダーV3第40話で使用)
黒いピラミッドがゾンビ兵の製造プラントでしかも3千年前から稼動しているというのが本当だとするとBADANは3千年前から暗躍していたのでしょうか。
(「仮面ライダーspirits」1巻P.174より引用)
改造人間になる・・。風見にはそれしかなかった。それしかなかったんだッ!
このあまりにも深い哀しみを誰が知ろうか、風見志郎か。
ギャグが寒いだと? 黙れ!風見の心はもっともっと寒いんだ!
もしそうではなく、未知のスーパーテクノロジーを利用しただけだとするならエジプタス(仮面ライダー36話に登場。
ピラミッドから発見されたミイラを改造したのではなく、怪人がミイラ化したモノをショッカーが発見、蘇生した)と関連付けても面白かったのではないかと思います。
ライダーマン
サブタイトル:「右腕の記憶」
舞台:タヒチ
敵:ヨロイ元帥
必殺技:マシンガンアーム
この作品のみデストロン壊滅の数日後となっています。
ということはヨロイ元帥が言っていた「新たなる組織」というのはBADANではなくGODなんでしょうな。
(「仮面ライダーspirits」2巻P.40より引用)
当時、ライダーマンをバカにしていた人は手を上げて〜。
ハ〜イ。
結城丈二よ、愚かなボクを許しておくれ.。君のカッコ良さは大きくならないとわからないんだよ。
トドメに使ったマシンガンアームは本編には登場しなかった設定のみの武器です。
なお、どうでもいいことですが初版単行本では表紙のサブタイトルの後に(前)と入っています。
再版以降修正されたかどうかは不明です。
仮面ライダーX
サブタイトル:「機鎧の海(前)、(後)」
舞台:スペイン アンダルシア地方コスタ・デル・ソロ郊外
敵:薔薇怪人(ロッサ)
必殺技:Xキック
「右腕の記憶」に登場したアンリエッタが再登場。
インターポール繋がりで滝とともに神敬介に会いに行くという、ようやく物語が動き出したと感じさせるエピソードです。
(「仮面ライダーspirits」2巻P.104より引用)
本作は、ライダーに魅せられた男、村枝賢一氏がライダーにたいする熱き想いを、己が持つ全ての技量を振り絞り
文字通り、魂(spirits)をブッつけて描いている。
変身シーンは特に必見だ!
ところで銀の髑髏がBADANの産物だとすればBADANは30年前から暗躍していたのでしょうか?そうでないとすれば今回の怪人はBADANとは無関係ということになりますが、だとすればどの組織が作ったのでしょうか。
仮面ライダーアマゾン
サブタイトル:「密林の破壊神(前)、(後)」
舞台:ギアナ高地 デビルズ・テーブル
敵:火蜥蜴怪人(コードネーム:サラマンダー)
必殺技:スーパー大切断(仮面ライダーアマゾン第24話で使用)
(「仮面ライダーspirits」2巻P.188より引用)
咆哮、雄叫び。舞い散る血飛沫。飛び散る肉片。
それこそがアマゾンの魅力だよな〜。
BADANの幹部らしき3人が初登場。しかし、初めに書いたとおり、割とあっさりやられてしまいます。
なお、サラマンダーはファンブックに準じて「火蜥蜴怪人」としましたが、自分にはイグアナに見えます(大体火蜥蜴という蜥蜴、本当にいるのでしょうか)。
仮面ライダーストロンガー
サブタイトル:「彷徨の雷鳴(前)、(後)」
舞台:日本 神奈川県三浦市
敵:ZX(コマンダー コードネーム:ムラサメ)
ZX(量産型)
必殺技:超電子ウルトラサイクロン
(「仮面ライダーspirits」3巻P.62より引用)
放映当時、タックルが死んで大喜びした糞ガキどもが全国で推定1000万人を超えたといわれる。
ガキの時分ってのは、そんなもの。ヒーロー物に女なんかいらねえよ、けっけっペッ、って思ったものさ。
そんなボクも今では立派なダメ人間に成長。萌え〜萌え〜萌え〜ホエホエ。まさに電波人間。死んでしまえッ!
さてさて、ロビーナひゃん、こと加藤夏樹を今のガキどもはどう感じてるのかな?
村雨良(言うまでも無く後の仮面ライダーZX)と三影英介(後のタイガーロイド)が初登場。
「たった一人の戦場」に続いて量産型のZXが登場しますが、その数が13人というのは原作版仮面ライダーのショッカーライダーになぞらえてでしょう(そのうちの一人が後に正義に目覚めるという点も…)。
ところで、ZXの一人が自分達を「世界中から選りすぐられた」と言っていますが、そんなエリートと「筋力、スピード、反応速度ともほぼ互角」なのですから城茂がいかに逸材かわかろうというものです。
それともブラックサタンの科学力がBADANをも上回っているのでしょうか。
なお、ストーリー的には滝が仮面ライダー最終話以来初めて帰国し、立花籐兵衛と再会しています。
ZXのTV特番では実現しなかった立花籐兵衛の活躍はあるのでしょうか。
仮面(スカイ)ライダー
サブタイトル:「約束の蒼空(前)、(後)」
舞台:ノルウェー トロムソ地方
敵:毒蛾怪人(コードネーム:プアゾン 本名:フレイ)
必殺技:大回転スカイキック
本編では再改造後はあまり空を飛ばなくなってしまったスカイライダーですが本作ではその特色を生かし空中戦を展開します。
(「仮面ライダーspirits」3巻P.139より引用)
スカイライダーからだったか? 変身シーンで手の軌跡をえがくようになったんだね。
また、正直シリアスが売りの本作でガンガンジイがでるとは思いませんでしたが、滝和也同様重要な役割を担うあたり、村枝氏の「悪を憎みつつも力の無い人々」への思い入れが伺えます。
仮面ライダースーパー1
サブタイトル:「流星の神話(前)、(後)」
舞台:月面及び宇宙
敵:アメンボ怪人(コードネーム:アスラ)
必殺技:スーパーライダー月面キック
個人的に第1部最高傑作は本作だと思っています。
惑星改造用改造人間という設定を生かし、月基地でファイブハンドを駆使して活躍する一也の姿もさることながら、大気圏に突入するシャトルで、船頭にたどりつくまで重力ハンドを使う点や、シャトルの外壁を冷やすのに冷熱ハンドを使用したのには本当に感心しました。
(「仮面ライダーspirits」3巻P.238より引用)
史上、最もリッチなライダー、スーパー1。
カッコよかったなあ。
地球でのアスラとの闘いでも、おそらく拳法家としてはアスラの足元にも及ばないであろうスーパー1が、アスラが「とるにたらない」と切って捨てた「か弱き人々」の機転で勝利するというのも非常に燃えます。
スーパー1の無事が伝えられ、ほっとしたのもつかの間、BADANはついにその全貌を表し、全世界に宣戦を布告します。そして第2部へ…
仮面ライダーZX
ここまで読んでようやく本作が「仮面ライダーZX」の物語であり、プロローグである第1部と第2部前半を経て、テレビスペシャル「10号誕生!仮面ライダー全員集合」のコミカライズへと繋がっていく事がわかったわけです。
その後の展開についてはあちこちにちりばめられた伏線を楽しみつつ、ご自分で確かめてください。
蛇足ながらもう一つ、「流星の神話」のラスト、BADANの攻撃シーンで輸送機から量産型ZXが飛び降りるシーンがあるのですが、そこでZX達がバイクに乗っていたのに自分は感心してしまいました。
生身でも、パラシュートを使ってでもいいところをあえてバイクに乗せた理由、それはZX専用バイクの名前が「ヘルダイバー」だからです。
これで、「仮面ライダーSPIRITS」のレビューは終わりですが、最後に以降のシリーズについての自分の感想と希望を。
仮面ライダーBLACK
スーパー1から7年振りとなるテレビシリーズで、最初の「仮面ライダー」以来といってもいい、石ノ森章太郎氏ご本人の筆による原作漫画付の作品。
従来のライダーシリーズとのかかわりがなく、独自の世界観を確立しており、またこれまでのライダーシリーズには取り入れられなかった「宿命のライバル」の存在が物語を盛り上げた佳作です。
また、この作品には島本和彦氏による素晴らしい番外編のコミカライズがあり、村枝賢一氏がどのようにアプローチするか非常に興味があるところです。
仮面ライダーBLACK RX
前シリーズのBLACKとはうってかわって、異次元からの侵略、地球の生物をモチーフとしない敵等メタルヒーローシリーズに近い作風です。
また、ロボライダー、バイオライダーへの2段変身、物語終盤での10人ライダーの登場などは視聴者を驚かせました。
しかし、素顔での登場がないのはいたしかたないとしてもストーリーにライダー達の個性がかかわっていないのは残念です。
おそらく、どうアプローチしてもSPIRITS第2部と似てしまうので差別化が難しいところでしょう。
ところで、自分も未見なのですが、この作品には成井紀郎氏によるオリジナルストーリーのコミカライズがあるそうですので単行本化を強く希望します。
真・仮面ライダー 〜序章
ライダーを本来の設定のバッタ男として描くという、まったく判っていない連中がまったく判っていないまま作成したオリジナルビデオ。
原点回帰を標榜し、ホラー色を強く出していっそうどうしようもないものに仕上がっています。
幸いにも視聴者は作成者よりモノが判っていたので続編は作られませんでした。
あえてこの作品をコミカライズするとしたら、『醜い自分の姿を隠すために自作のマスクを被り、スーツを着る』なんて設定はどうでしょうか。
仮面ライダーZO
「東映ヒーローフェア」で作成された劇場版オリジナル作品の仮面ライダー。
「ZO」という名前は仮面ライダー20周年記念作品であることから「20」を記号化したものです。
雨宮慶太監督の映像最優先の演出は個人的に好みではありません。
また、ストーリー的にもテレビシリーズというバックホーンが無いためZOの誕生から究極生物との決着まで詰め込みすぎで、強弱がありません。ついでに島本和彦氏のコミカライズも面白くないという、個人的にダメダメな作品。
コミカライズするとしたら、これまでの「メカを組み込んだサイボーグ」ではなく「遺伝子レベルで改造した改造人間」という部分が膨らましがいがあるのでは。
仮面ライダーJ
大地主母神の神秘の力により、変身能力を与えられ、更に巨大な敵に立ち向かうため巨大化する仮面ライダー。
これは自分にとってライダーではありません。
仮面ライダーの仮面ライダーたる所以、それは自分にとっては「等身大であること」と「改造人間であること」でした。然るに本作はこの2つを同時に破ってくれました。
この2点というのはすなわち、ウルトラマンと仮面ライダーの違いでもありました。
1つずつ説明しましょう。
まず、巨大化。これは世界観の違いです。
世界中にネットワークを持つ地球防衛軍が存在し、毎週全長40メートルの巨人が同程度の身長の怪獣や宇宙人と戦う。
ウルトラマンの世界観はもちろん魅力的です。
しかし、リアリティという点ではどうでしょうか。身長40メートルの巨人が格闘戦を行っていたら、世界中の人間で知らないものはいないほどのニュースになるでしょう。
対して仮面ライダーの世界は闇に潜む悪の秘密組織が等身大の怪人を送り込み、徐々に世界を支配して行く。そういう世界です。
仮面ライダーは誰にも知られること無く正義を守る孤独のヒーローなのです。
次に改造人間であること。これは二度と普通の人間に戻れないことを意味しています。
対して超常的な存在から与えられた力はウルトラマンのハヤタ隊員がまさしくそうであったように、超常的な存在によって元に戻される可能性があるのです。
限りなく不幸な、それゆえにハードボイルドなヒーローそれが自分にとっての仮面ライダーだったのです。
話は変わりますがそれゆえに仮面ライダー本編の少年ライダー隊というのが自分は当時から大嫌いでした。
ライダー本人が陽性なのは性格なのでかまいませんが、回りがアットホームな雰囲気になるのが許せなかったのです。嫌なガキだ。
という訳で自分はこの作品は認められません。
このライダーは作品としての最大の特徴が自分がライダーと認められない点なのですから。
仮面ライダークウガ
この作品のライダーも超常的な力によって変身するため認めたくないです。
ただし、非常にあざといのですがこの作品、本編中では一度もクウガを「仮面ライダークウガ」とは呼んでいないのです。仮面ライダーの名を冠していなかったらかなり好きな特撮作品になったのですが。
仮面ライダーアギト
クウガと同じ世界観での話なので基本的にはクウガと同じです。
アギト、ギルス、G3X、アナザーアギトのそれぞれの立場での戦いはリアルタイムで見ているときは面白かったのですが、ラストがキャラクター的にもストーリー的にも未消化なのが残念です。
仮面ライダー龍騎
ここまできてしまうと、もうどうでもいいとさえ思えてしまう、ミラーワールドの設定とライダーのデザイン。
放映前の情報と第1話で早くも脱落していたのですが、先般劇場版を見てからは毎週見ています。
昭和のライダーが全員神にも等しき犠牲的精神の持ち主だったのに対し、正義のために戦おうというライダーが一人もいない(主人公たる龍騎すらも)というのも逆にすごいです。
(「仮面ライダーspirits」1巻P.46より引用)
魂は受け継がれる。
仮面ライダーは本当にいるんだッ!