これまで、現在連載中の作品を紹介してきました「ええモンありまっせ、お客さん」ですが、ここらで既に名作漫画100選で紹介済みの作品のより詳しい解説を行なってみたいと思います。その1回目は石川版ゲッターと並んで小学生だった自分に多大な影響を与えたこの作品です。

 

「ザ・ウルトラマン」

 

 

著 者:内山まもる

掲載誌:コロコロコミック

コミックス:てんとう虫コミックス全4巻
(1978年初版第一刷発行)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





この作品には小学館からB6版で1冊に纏めて再販されたバージョン(エース、タロウ、レオのコミカライズ未収録)、小学館漫画文庫から再販されたバージョン、双葉社からA6版で3冊にまとめて再販されたバージョン、そして初単行本であるてんとう虫コミックスバージョンと4種類がありますが、今回は自分がもっとも愛着のあるてんとう虫版をもとに話をいたします。
なお、現在入手しやすい双葉社版は内容がてんとう虫版とまったく同じな上に「ウルトラマンティガ」が収録されていますから非常にお徳です。
もし、このコラムを読んで「読んでみたい」と思われた方がおられましたらこちらを入手しましょう。



では、目次に沿って解説しましょう。目次は下記のとおりです。

第1巻
@ジャッカル対ウルトラ兄弟
  1.姿なき強敵
  2.あやうし!ウルトラの国
  3.なぞの超人現る!
  4.復活!ウルトラ兄弟
A若きファイタスの挑戦

第2巻
@ウルトラマンエース
  1.悪魔はやさしいお兄さん?
  2.うるさい音に気をつけろ!
  3.白い伝説
Aウルトラマンタロウ
  1.ねらわれた少年タケル
  2.自分の足で歩くんだ!
  3.警官インベーダー
  4.ほんとに怪獣が出たぞ
  5.神の子になった少年
  6.涙のストリウム
  7.恐怖!ウルトラ蟻地獄

第3巻
@闘え!ウルトラ兄弟
Aウルトラマンレオ
  1.ウルトラマンレオ登場
  2.危機一髪、モロボシダン
  3.ウルトラキラーゴルゴ
  4.復活!ウルトラセブン
  5.帰ってきたウルトラマンおくりもの
  6.レオの弟、アストラ登場
  7.伝説の長老ウルトラマンキング
  8.最後の大決戦
  9.さらば!ウルトラセブン
   10.ウルトラ戦士 大勝利

第4巻
 @月面要さい大作戦
 A友情は永遠に
 B1ダースの特攻隊
 Cゾフィーの危機



このてんとう虫コミックスは1巻から4巻まで同時発売だったので、詳細な掲載時期等が不明です。
また掲載誌も全てコロコロコミックとなっておりますが、実際にはコロコロに掲載された時点で小学館の学習誌からの再録がほとんどでした。
今回は自分の記憶にある限り忠実に再現したいと思います。
なお、本文中「本編」とはテレビで放映した特撮番組。「本作」とは漫画を指します。

さて、最も古い作品ですが、これは
単行本2巻 @ウルトラマンエースです。
ただし、エース以前にも学習誌で「帰ってきたウルトラマン」の漫画も手がけていたはずですが、コミックスにもコロコロにも収録されませんでした。
掲載時期はエース本編の放映次期と同じ昭和47年です。
内容ですが「悪魔はやさしいお兄さん?」は第22話「復讐鬼ヤプール」のほぼ忠実なコミカライズです。
ちなみに謎の鉄仮面は本編では「宇宙仮面」と呼ばれていました。

「うるさい音に気をつけろ!」は第36話「この超獣
10,000ホーン?」のコミカライズで差異はほとんどありません。なお、作中超獣名が出ていませんが「サウンドギラー」といいます。

「白い伝説」は第42話「神秘!怪獣ウーの復活」のコミカライズです。
この話はウーの再登場ということで思い出深い話なのですが、作中では冷凍系つながりでスノーゴンを登場させるなど内山まもるのオリジナリティが垣間見え、いっそう印象を深めています。
なお、超獣はなぜか、第39話「セブンの命!エースの命!」に登場した「ファイヤーモンス」が使用されています。
また、スノーゴンが本編で登場したのは「帰ってきたウルトラマン」第40話「まぼろしの雪女」です。

ウルトラマンエースは以上の3話しか収録されておらず、完全オリジナルの話も入っていないことから後発のタロウやレオほど強烈な印象はありませんが、コミカライズのお手本ともいうべきしっかりした仕上がりだと思います。
欲を言えばただでさえ女性の出番がないこのシリーズ、内山まもる画の南夕子がもっと見たかったところです。



続いて
単行本2巻 Aウルトラマンタロウに移りましょう。
1から3までの3話を自分は勝手に「タケル編」と呼んでいるのですが、これは小学館
BOOKSに掲載された作品です。
ここで小学館
BOOKSについて少し説明します。
この雑誌は学習誌から「学習」を抜いた本というような感じで、アニメや特撮のコミカライズを中心に構成されていました。
しかし、コミカライズといってもこのタロウや「ドロロンえん魔くん」など、オリジナルストーリーのものが多く、コロコロよりは年齢層が高めで、小学館版「冒険王」といった印象がありました。
「タケル編」は怪獣こそ本編に登場したものを使っていますが、ストーリーはまったくのオリジナルです。
怪獣名は1が「アストロモンス」(本編第1話)、2が「コスモリキッド」(本編第2,3話)、3が「アリンドウ」(本編第9話)です。掲載誌の休刊に伴い、3話で終了してしまったのが残念です。
4〜7は学習誌に掲載されたものです。
「ほんとに怪獣が出たぞ」は第2話「その時ウルトラの母は」のコミカライズです。
とはいえ、使用しているのは怪獣に光太郎が飲み込まれ、その救出作戦を行なう部分と怪獣のみで狼少年の部分はオリジナルです。
また、本編では「コショウ作戦」は失敗するのですが本作ではそのユニークさを買って採用したのではないでしょうか。怪獣名は「ライブキング」です。
「神の子になった少年」はオリジナルストーリーです。
本編第27話「でた!メフィラス星人だ!!」でメフィラス星人は登場しますが、ストーリーは全然違います。
そもそも、元来本編27話にメフィラス星人は関係なく、脚本が完成してから「怪獣再登場シリーズ」の一環として急遽登場怪獣がメフィラス星人に差し替えられたそうです。
そのため「ウルトラマン」で初登場したとき(第33話「禁じられた言葉」)の知的なイメージはかけらもありません(一部で有名な
「卑怯もラッキョウもあるか」というセリフをはいたりしてます)が、本作では子供を操り、ZAT壊滅を図ったり、超能力を使ったりとかなり初登場のイメージに近く、内山まもるのこだわりが感じられます。

「涙のストリウム」はウルトラシリーズ初の3話連続ストーリー、第17話「2大怪獣タロウにせまる」、第18話「ゾフィーが死んだ!タロウも死んだ!」、第19話「ウルトラの母愛の奇跡」のコミカライズで、やや冗長な感じのある本編をすっきりと纏めています。
怪獣名は「バードン」。この怪獣、何をかくそう長いウルトラシリーズでウルトラマンを倒した初の地球生まれ怪獣です。
その功績が買われてか、後にジャッカル編に登場するわけですが、それはまた後程。

「恐怖!ウルトラ蟻地獄」は第9話「東京が崩れる日」のコミカライズです。怪獣名は「アリンドウ」。
「タケル編」に続いて2度目の登場ですが、これは先ほど述べたとおり掲載誌が違うためです。
単行本に掲載されたウルトラマンタロウは以上ですが、その他単行本未収録作として第24話「これがウルトラの国だ」、第
25話「燃えろ!ウルトラ6兄弟」を1話に纏めたコミカライズがあります。
いずれも掲載時期は昭和48年ごろです。

このタロウで内山まもるオリジナルのウルトラマンが確立したといってもいいでしょう。



では、
単行本3巻Aウルトラマンレオにまいりましょう。
異色作として賛否両論な本編ですが、内山版はもっとも油が乗り切っている時期で、非常に面白いです。
なんといってもモロボシダンがかっこよすぎます。
本編ではほとんどなかったウルトラセブンの登場シーンが結構多いのはウルトラセブン本編のコミカライズができなかったから…と、いうのは考えすぎでしょうか。

「ウルトラマンレオ登場」は第1話「セブンが死ぬとき!東京は沈没する!」、第2話「大沈没!日本列島最後の日」のコミカライズです。
新ヒーローの登場シーンとしては申し分ありません。
登場怪獣は「マグマ星人」、「レッドギラス」、「ブラックギラス」の3体。
「危機一髪、モロボシダン」は早くもオリジナルです。
ゲンを狙うマグマ星人と変身できないまま単身マグマ星人のもとに乗り込むモロボシダンの話です。
本編では早々と退場してしまったマグマ星人ですが、内山版ではレオのライバルとして連続して登場します。
余談になりますが、83年に放映された「アンドロメロス」には過去の怪獣のサイボーグや形を模したロボット、強化型等が登場するのですが、ベムスターやキングジョー、バルタン星人やガッツ星人といったそうそうたる面子に混じって「マグマ星人三兄弟」というのがいるのは本作の影響ではないでしょうか。

さて、「ウルトラキラーゴルゴ」はオリジナルストーリーの多いレオの中でも屈指の名作です。
ウルトラ一族への刺客として名高いウルトラキラーゴルゴがマグマ星人に雇われ、レオに挑戦します。
初対面ではマグマ星人がレオをおびき寄せるのに卑怯な手を使ったため闘わずに終わります。
この間、ゴルゴの実力を知るダンは、発展途上であるレオでは勝ち目がないと判断し、ウルトラマンタロウこと東光太郎に協力を呼びかけます。
このエピソードはウルトラマンタロウ本編最終話でタロウがウルトラマンであることを捨てて、人間東光太郎として生きていくことを決意するというエピソードに準拠しています。
割とウルトラシリーズ本編が新シリーズに突入すると前のシリーズの設定を無視してしまうのに対し、こういう細かい部分にこだわれるのが個人作業である漫画のいいところです。

話を戻して、当初は協力する気のなかった光太郎ですが、ふと、今まで連絡してこなかったのに何故急に協力を呼びかけてきたのか気になります。
そして、MAC基地に向かう途中レオと戦うゴルゴに遭遇、レオのピンチにタロウに変身し、合体光線でゴルゴを倒します。
そして、エピローグ、これからも協力してくれというダンに対し、また合うこともあるでしょうと言い残し去っていく光太郎…、ウルトラマンタロウの最終回以降に何かあったと思わせるニヒルな表情がいい味出してます。
こういう本編を加味した上でのオリジナルストーリーというのはいいですね。
このウルトラキラーゴルゴが内山オリジナル怪獣(星人)の第1弾です。

「復活!ウルトラセブン」もオリジナルです。
軽率な行動をダンに咎められたゲンは、MACを飛び出し、街中であった子供達とお化け屋敷探検に行きます。
ところがこのお化け屋敷は怪獣バンゴ
(本編第12話「冒険野郎が来た!」)登場の擬態で、ゲンたちはバンゴの腹の中に閉じ込められてしまいます。
バンゴに苦戦するMAC。ダンの乗るマッキーも被弾します。
その時ウルトラの父からテレパシーが届きます。
1分間だけならウルトラの国からエネルギーを送り、セブンに変身できるが、1分を1秒でも過ぎたら2度と蘇れないと。ダンは地球の平和のため決死の覚悟で変身します。
バンゴを圧倒するウルトラセブン。
しかし、止めをさそうとした瞬間、影でバンゴを操っていたマグマ星人が、ゲンがバンゴの体内にいることを告げます。
なすすべのないセブン。一方、バンゴの体内のゲンにもウルトラの父のテレパシーが届きます。
状況を知らされたゲンは子供達と協力してバンゴの体内をくすぐり、くしゃみをさせて脱出することに成功。
ぎりぎり58秒でダンは変身をとき、レオに変身したゲンはウルトラ太陽落しでバンゴを葬り去ります。
エピローグ、病室のベットのダンに謝るゲンに対し、これからも地球のために闘ってくれと言うダン。
より深い絆で二人が結ばれた瞬間です。
うーんこうして書いていてもすばらしいエピソードです。
何故本編でこの話をやらなかったのでしょうか。残念です。

「帰ってきたウルトラマンのおくりもの」は第34話「ウルトラ兄弟永遠の誓い」のコミカライズです。
内山まもる画による郷秀樹が見られる貴重な回です。
また、郷秀樹が破壊されたウルトラアイを光の国に持ち帰るシーンがあり、内山版最終回に向けての伏線もはってあります。
怪獣名は「アシュラン」、本編では1度しか登場しなかったカプセル怪獣の「セブンガー」も登場します。

「レオの弟、アストラ登場」は第22話「レオ兄弟対怪獣兄弟」のコミカライズです。
レオの弟「アストラ」の初登場の回です。
怪獣名は「ガロン」と「リットル」。
「伝説の長老ウルトラマンキング」は第2
6話「ウルトラマンキング対魔法使い」のコミカライズです。
ちなみに本編タイトルは地方局及び再放送では「ウルトラマンキングの贈り物」というタイトルで放映されました。
理由は不明です。
「ウルトラマンキング」初登場の回で、怪獣名は「プレッシャー星人」。

「最後の大決戦」は設定的には第38話「決闘!レオ兄弟対ウルトラ兄弟」、第39話「レオ兄弟ウルトラ兄弟勝利の時」を使用していますが、細部はだいぶ違います。
まず、本編ではアストラに化けたババルウ星人がウルトラの国の軌道を制御するウルトラキーを盗み、レオに助けを求め、ウルトラ兄弟との同士討ちを狙うというストーリーでしたが、本作ではウルトラマンエースに化けたババルウ星人がレオ兄弟をおびき出し、死んだと思われていたレオの両親が自分たちの手中にあることを告げ、ウルトラの国を破壊するよう命令します。
結局誤解が解け、レオ兄弟とウルトラ兄弟が和解するという点は同じですが、本作は最終回に向けての連続ストーリーになっています。
ところで、レオの故郷がマグマ星人に破壊された際に行方不明になったはずのレオの両親は何故ババルウ星人の捕虜になっていたのでしょう。
じつは「危機一髪、モロボシダン」の回でレオのキックを顔面に受けたマグマ星人の仮面が割れるシーンがあるのですが、その時マグマ星人は「よくも俺の顔を見たな。きっと殺してやる。」と言って逃げるのです。
何故、マグマ星人は仮面をつけ、顔を見られるのを嫌ったのでしょうか?それは「じつはマグマ星人の正体はババルウ星人である。」と考えれば謎は解けます。
つまり、「善良な表の顔があるババルウ星人は獅子座L77星を侵略した事実が明るみに出るとまずいため、マグマ星人に罪を着せた、または架空のマグマ星人という存在をでっち上げた。」ということです。
そして、いよいよ宇宙征服を実行に移すため、正体を隠す必要がなくなったという訳です。どうでしょう、この推理は。

余談はさておき、次は「さらば!ウルトラセブン」です。
第40話「MAC全滅!円盤は生物だった!」のコミカライズですが、ウルトラセブンの壮絶な最後は、単に行方不明になってしまう本編をはるかに凌駕しています。

ババルウ星人は地球侵攻のため、ブラック司令の協力を得ます。
そして、ブラック司令の放った円盤生物「シルバーブルーメ」はMACの基地を攻撃します。
ウルトラの国からの帰路、たまたまMAC基地襲撃中に間に合ったレオはダンを救い脱出するが、MACは全滅。地球についてレオから修理されたウルトラアイを受け取ったダンは傷ついた体でセブンに変身。
もう助からないと悟ったためか、MAC全滅の責任をとるためか、レオにアイスラッガーを託し、MACの秘密兵器である巨大ミサイルとともに特攻します。
壮絶ですね。このあらすじは本当に小学館の学習誌で掲載された漫画のものでしょうか。
固有名詞を変えればジャンプ作品のあらすじといっても立派に通用します。

そして、最終回「ウルトラ戦士 大勝利」です。
MACもダンも失い、途方にくれるゲンの前に地球侵攻の円盤生物が姿をあらわします。
そこにセブンを失い、怒りに燃えるウルトラ兄弟が合流し、最後の戦いが開始されます。
そんな中、ババルウ星人は「人質があることを忘れたか」とレオに脅しをかけます。
そのとたん爆発する円盤。
地球までの道のりの間に太陽エネルギーを回復させた、レオの両親が自力で脱出したのでした。
何の憂いもなくなったレオの獅子奮迅の戦いの前に形成不利と見たブラック司令は一時退却しようとしますが、その前にアストラが立ちふさがります。
最後はセブンの形見のアイスラッガーでブラック司令にとどめをさすレオ。
見事です。一分の隙もありません。本編がMAC全滅後も1クール近くだらだらやっていたのに対し、なんという盛り上げ方の上手さでしょう。素晴らしいの一語に尽きます。


以上がウルトラマンレオについての解説です。
最終回も含め、半分以上がオリジナル。
コミカライズの回もアストラやキングの登場とイベント編ばかりでごく普通の話というのは
(コミックス掲載分では)1話もありません。それだけ内山まもるがエピソードを厳選したということでしょうか。
ちなみに、レオにもコミックス未収録作があります。
第3話「涙よさよなら…」、第4話「男と男の誓い」に登場した「ツルク星人」が登場するオリジナルです。
なんと巨大化した状態で
(つまり全長40mほどの)バイクに乗ったツルク星人とレオとの戦いを描いた作品です。
ま、傑作ぞろいのコミックス収録作に比べるとちょっと落ちます。
掲載時期は昭和49年ごろです。それと本当にどうでもいいことなんですが、てんとう虫コミックスでは最後の2話のタイトルが目次に載っていません。



ここまでコミカライズ部分、次はいよいよ
完全オリジナル「ジャッカル編」について解説しましょう。
単行本
1巻@「ジャッカル対ウルトラ兄弟」について説明しましょう。
この作品は昭和51年、「小学五年生」にはじめて掲載されました。
タイトルは「ザ・ウルトラマン」でしたが、後にこのタイトルをコミックスのタイトルにしたため、コミックスでは「ジャッカル対ウルトラ兄弟」のタイトルになっています。
また、コミックスではサブタイトルが4つしかありませんが、雑誌掲載時は全10話でした。

ほとんど知られていなかったこの作品がメジャーになったのは、コロコロコミック創刊2
,3号に掲載されたためです。
人気の高さから、コロコロコミックはウルトラマン増刊を発行。
この増刊は「ジャッカル編」全話再々掲載に加え、エース、タロウ、レオのコミカライズの再掲載が人気を呼び、たちまち完売しました。
このことが活字に寄るウルトラブーム、いわゆるウルトラ再認識ブームを引き起こし、「ウルトラマン80」でのウルトラシリーズ再開に繋がります。

では、内容の解説に移りましょう(ここからはあらすじに伴いネタばらしもしてしまうため、今まで本作を読んだことがなく、これから読もうと思っている方は目を通さないほうが良いと思います)。



姿なき強敵
宇宙パトロールを終えて帰路を急ぐウルトラマン。
そこに死んだはずのゼットンが現れる。
問答無用で射出される1兆度の火の玉。ウルトラマンは反撃もできずに敗れ去る。
新マンが駆けつけたときウルトラマンは瀕死の状態で、ゼットンにやられたとだけ言い残し息を引き取る。

「ザ・ウルトラマン」1巻P.7より引用。

ゼットンの調査のため、ウルトラマンが襲われた場所から一番近い惑星を訪れる新マン。
もやの中から突然ナックル星人とブラックキングが襲ってくる。
ナックル星人に気を取られた隙に、ブラックキングの角が新マンの腹部にめり込む。


「ザ・ウルトラマン」1巻P.17より引用。

タロウが新マンを発見したとき、新マンは既にこと切れており、タロウは新マンの体の傷跡とあたりに散らばる体毛から犯人はナックル星人とブラックキングとつきとめる。
ウルトラ兄弟のうち二人を失った宇宙警備隊は非常事態体制をとり、ゾフィーはレオにも警戒せよと伝えるためタロウを地球に送る。
だが、地球に向かうタロウの後ろにも謎の影が忍び寄るのだった。


「ザ・ウルトラマン」1巻P.19より引用。


と、いうところで雑誌掲載時の第1話が終了。

タロウの背後に忍び寄る謎の影の正体はバードンだった。
不意を突かれ目を、続いてカラータイマーをやられるタロウ。必死に地球に逃れるもののその命は既に尽きようとしていた。

タロウからウルトラ兄弟が襲われていること、タロウを襲ったのはバードンであることを聞いたレオは、ウルトラの国にウルトラサインを送る。
それを受けたゾフィーは地球に向かおうとするが、万が一を考え自粛する。
エースは事の真偽を確かめるため地球に向かう。
エースはその途中ゴルゴダ星を見つけ、何気なく立ち寄る。そこでエースを待ち受けていたのはエースキラーだった。

エースからの連絡がないことを不審に思ったゾフィーは、部下数人を連れて地球に向かう。
その途中、タロウの亡骸を運ぶ途中のレオと出会う。
ウルトラの国に戻ったゾフィーを待っていたのはエースの訃報だった。
そしてその手にはエースキラーとかかれた紙が。

宇宙警備隊はその全兵力を犯人探しに向けるが、怪獣達の行方はようとして知れなかった。
そして一週間後、地球の月に異様な光が観察され、ゾフィーはレオと数名の部下を引きつれ調査に向かう。
そこで見たものはアストラの死体とその犯人だった。
犯人の姿を見て一同は驚愕する。
なんとそこにはゾフィーその人が立っていたのだ。
他の怪獣はどうしたと問うゾフィーに対し、偽ゾフィーは、あれは全て自分の変身であり、姿形だけでなくその能力までコピーできるのが俺の変身の凄いところだと答える。
歴戦の勇士であるウルトラ兄弟はたった一人の宇宙人に倒されたのだ。
そしてついに謎の敵が正体をあらわす。


ここまでが雑誌掲載時第2話、コミックスの第1話のあらすじです。
たったの2話でウルトラ兄弟が5人も倒されるこの怒涛の展開。
謎の敵の圧倒的な強さ。
続きが気にならない人間はこの世にいない、といっても間違いないでしょう。
では、ここまでに登場した怪獣達のデータを記しておきましょう。

まず、ゼットン。「ウルトラマン」第39話「さらばウルトラマン」に登場。
スペシウム光線、八つ裂き光輪等ウルトラマンの必殺技をことごとく寄せ付けず、1兆度の火の玉でウルトラマンを破るも、科学特捜隊の開発したペンシル爆弾で四散します。

「帰ってきたウルトラマン」最終話で2代目が登場するが、バット星人と2体で攻撃したにもかかわらず新マンに敗れます。きっとゼットンにも個体差があるのでしょう、なんか太ってたし。

続いて、ナックル星人とブラックキング。
「帰ってきたウルトラマン」第37話「ウルトラマン夕日に死す」、第38話「ウルトラの星光る時」に登場。
しかし、この時は新マンにナックル星人のからめ手による精神的ダメージがあったことや、再戦では割とあっさり勝ってしまった事などからあまり強い怪獣という印象はないです。
個人的には「帰ってきたウルトラマン」最強怪獣はベムスターだと思います
(第18話「ウルトラセブン参上」登場)

バードンは前述のとおりですが、ゾフィー、タロウと真っ向から戦って勝利を収めるとは、宇宙全体でも最強レベルの強さの怪獣でしょう。
それが地球出身とは何か不思議な感じがします。

最後にエースキラー。
「ウルトラマンエース」第
13話「死刑!ウルトラ5兄弟」、第14話「銀河に散った五つの星」に登場。
正確にはアンドロイドだと思うのだが、何故こいつに変身できたのか不明。
それはともかく個人的に凄く好きな超獣。十字架に貼り付けにされたゾフィー、マン、セブン、新マンからエネルギー
(新マンからはウルトラブレスレット)を奪い取り、それぞれの必殺技でエースを攻撃するシーンは見ていてどきどきしました。
それにエースキラーという名前もいいじゃないですか。エースを倒すためだけの存在という感じで。
この設定って「ハカイダー」そっくりですけどあまり指摘する人いませんね。


あやうし!ウルトラの国
謎の敵の正体はかつて大魔王を名乗り、全宇宙の征服をたくらんだが、ウルトラマンキングに敗れ、ブラックホールに追放されたジャッカルだった。
脱出不可能なはずのブラックホールから生還し、しかも変身能力を身につけ、ウルトラ一族に復讐を開始したのだ。
ゾフィーの命令でウルトラ戦士達が攻撃を開始するが、ゼットン、ブラックキング、エースキラーと変身し、苦もなくウルトラ戦士をなぎ倒すジャッカル。
あまりの実力差にゾフィーは撤退を命ずるが、アストラを殺され怒りに燃えるレオはエースキラーの姿のジャッカルに戦いを挑む。
エースキラーの剣を叩き割るも、重傷を負うレオ。
ゾフィー達がウルトラの国まで撤退し、ウルトラの父とキングにことの顛末を話そうとしたとき背後から無気味な声が聞こえる。
ジャッカルがウルトラ戦士の一人に変身し、進入していたのだ。
ウルトラの国でキングとジャッカルの死闘が始まる。
そんな中、ゾフィーはウルトラに父にウルトラキーを持ってウルトラの母と一時撤退するよう命じられる。
考えた末、宇宙警備隊隊長としてウルトラの父の言葉に従うゾフィー。
しかし、ウルトラの母とウルトラの国を脱出したとたん、巨大な爆発音と閃光が起こった。


「ザ・ウルトラマン」1巻P.43より引用。
ジャッカル、つえ〜よ〜!かっこいいよ〜!

ここまでが雑誌掲載時第3話。

急遽ウルトラの国に引き返したゾフィーが見たもの、それは地獄だった。
ウルトラの国の太陽であり、エネルギー源であるプラズマ核融合炉はほとんど破壊され、街中にはウルトラ戦士の死体しかない。
そしてその中にはウルトラの父やレオの姿も…。
わずかに生き残りはいたもののその数はゾフィーとウルトラの母も含めわずか28人。
総数百万人といわれたウルトラ族は(プラズマ核融合炉の破壊という2次災害があったとはいえ)たった一人に敗北したのだ。
爆発時数万人は逃れたはずという意見もあったし、キングの死体がないという希望材料はあるものの、戦況は不利を通り越している。
しかし、そんな中ゾフィーはジャッカルに対し、復讐を誓うのだった。


というところで雑誌掲載時第4話。コミックス第2話終了。

つまりは、ウルトラ族への復讐からウルトラ兄弟の殺害を開始した時のジャッカルとゾフィーとで立場が180度入れ替わったことになる。
果たして巻き返しはなるのか。


なぞの超人現る!
ゾフィー達ウルトラ28人集は第2の故郷ともいうべき地球に潜伏するが、ここにもジャッカルの手は伸びていた。
28人集の1人がジャッカル軍団の手に落ちてしまった。
処刑されようとするウルトラ戦士。
ゾフィーは全滅を避けるため非常の決断を下す。
その時謎の超人が現れた。
謎の超人はジャッカル軍団に戦いを挑み,軍団長を倒してしまう。
果たして謎の超人の正体は?

「ザ・ウルトラマン」1巻P.72、73より引用。
メロスの初登場シーン。カッコよすぎ。グレートの初登場シーンに勝るとも劣らぬカッコよさ。


ここまでが雑誌掲載時第5話。

謎の超人は「アンドロレーザーN74」や「アンドラン」といった必殺技を駆使し,ジャッカル軍団を蹴散らしてゆく。
だが、ついにジャッカル軍団のジャッカル破壊光線一斉発射により,街は崩壊,超人も姿を消す。


「ザ・ウルトラマン」1巻P.78より引用。
鎧をまとっている時のメロスの全身像。かっこいい。


ジャッカルは部下からの報告を受け,反乱分子を完全に沈静化させるため,四天王の一人を地球に向ける。
四天王の呼びかけに答え再び姿をあらわす謎の超人。
四天王との戦闘の最中,ついに謎の男が正体をあらわす。
その正体は宇宙警備隊アンドロメダ方面警備隊長メロスだった。
そして,ウルトラ28人集もついにジャッカル軍団に反旗を翻す。


「ザ・ウルトラマン」1巻P.90より引用。
アタシ,脱いでもすごいんですッ!
鎧を脱いだら脱いだで、またまたカッコイイ、メロス。マジで、メロスはデザイン的にも優れていると思うので、このまま実写にしたらどうかと思う。


ここまでが雑誌掲載時第
6

ウルトラ戦士とジャッカル軍団の戦いが続く。
そんな中,メロスは最大の必殺技「レーザーショット アンドロメロス」で四天王を倒す。
四天王を失ったジャッカル軍団は地球から撤退する。
戦闘終了後、メロスに向かって共に戦おうと呼びかけるゾフィー。
しかし,メロスはゲリラ戦しか行なわないゾフィーを軽蔑し,一人で大魔王ジャッカルを倒すと宣言する。

四天王
2名を乗せ、地球を目指す新造戦艦。
それを宇宙空間で迎え撃つメロス。
だが,さすがに苦戦を強いられる。
そこに援軍としてゾフィー率いるウルトラ軍団が現れる。
どうにかウルトラ戦士達は戦艦を撃墜し、四天王
2名を倒すが、ウルトラ戦士5名を失った。
メロスの単独行動がその原因だというゾフィー。
メロスは死んだ
5名に変わって一緒に戦わせてくれという。
いよいよジャッカル軍団との最後の戦いが始まる。


ここまでが雑誌掲載時第7話,コミックス第3話までのあらすじ。

ついに、内山まもるオリジナル、そして、この時点では円谷プロオフィシャルでない唯一のウルトラマン,メロスの登場です。
ウルトラマン,新マン,エースのラインを継承しつつ,微妙に違うデザインが素晴らしい。
はっきり言って後のグレート、パワードよりかっこいいデザインです。
しかし,これほど人気が高く、素晴らしいデザインであるにもかかわらず、メロスの立体物というのを自分はほとんど見たことがありません。
わずかに雑誌「宇宙船」の読者投稿欄でアマチュアモデラーの方が造ったのを見ただけです。
できればバンダイでガチャポン化してくれないモンでしょうかね。



さていよいよ最終章です。

復活!ウルトラ兄弟
ジャッカル星の監視網をかいくぐり、宮殿に侵入するウルトラ戦士。
だが,メロスを除く全員がミニ・ブラックホールの罠に落ちてしまう。
ゾフィーの生死を確かめに来たジャッカルについにメロスが戦いを挑む。
その時ジャッカル宮殿に向かう謎の光があった。

ここまでが雑誌掲載時第8話

ジャッカルの弱点は角と読んだメロスは、アンドランを使い、角を叩き折る。角をやられてはかなわないと命乞いをするジャッカル。
降伏したものは殺せないとジャッカルを逃がそうとするメロス。
しかし、これは演技だった。一瞬の隙を突いてメロスのヨロイを解除するジャッカル。
無防備になったメロスにジャッカル破壊光線が炸裂する。
瀕死のメロスに対し,「とどめはささん,苦しみぬいて死ぬがいい」と言い放ち去っていくジャッカル。
一方、生き埋めになったゾフィーは謎の光に力を与えられ、罠から這い出す。
瀕死のメロスと再会するゾフィー。メロスはゾフィーに何かを伝えるのだった。


ここまでが雑誌掲載時第9話。いよいよ本当の最終回です。

ウルトラ族最後の戦士メロスを倒し,意気上がるジャッカル軍団。
ジャッカルは手始めに地球を征服し,そこを足がかりに宇宙を我が物にするのだと宣言する。
その時「地球は地球人のもの,そして宇宙はだれのものでもない」と声がかかる。
怒るジャッカル。
その声を発したのは倒したはずのメロスだった。
今度こそとどめと最大限のジャッカル破壊光線を放つジャッカル。メロスはM87光線で対抗する。
ジャッカルの腕に傷を負わせるが、メロスのヨロイも破壊される。
そこにはゾフィーの姿が。
メロスと思われたのはメロスのヨロイを着たゾフィーだった。
「もう,ヨロイはないぞ。今度こそ防げまい。」再びジャッカル破壊光線を放とうとするジャッカル。
その時奇跡が起こる。
ゾフィーを救った謎の光がウルトラ兄弟に変わっていく。
ウルトラ兄弟が蘇ったのだ。
ジャッカルに対し,ウルトラマンがスペシウム光線を,セブンがエムリウム光線を,新マンがウルトラスラッシュ(八つ裂き光輪)を、エースがメタリウム光線を、タロウがストリウム光線を放つ。
バラバラなって吹っ飛ぶジャッカル。
ついにジャッカルが滅んだ。
ウルトラマンキングの奇跡によりウルトラ兄弟は復活し,ウルトラの国も再建されようとしていた。
長い戦いが終わったのだ。
これからもウルトラ兄弟は宇宙の平和を守っていくだろう。  



というところで「ジャッカル対ウルトラ兄弟」完結です。
うーん、正直に言うと途中(コミックス第
3話)までの面白さに比べると最後があっさりしすぎていますね。
特にウルトラ兄弟復活について詳しい説明や伏線なしに突然というのはちょっとね。
では、ここで、自分なりのこの最終回に対する考えを述べましょう。
「俺の考えは違う」という方はとばしてください。

まず,あの復活についてですが、本編でもウルトラ兄弟の復活については不思議な部分がたくさんあります。
例として「ウルトラマン」第
39話「さらばウルトラマン」の命を2つ持ってきたというセリフとか,「ウルトラマンエース」第27話「奇跡!ウルトラの父」でブロンズ像にされたウルトラ兄弟を復活させた、ウルトラの父が持っていた謎の機械とか,「ウルトラマンタロウ」第18話「ゾフィーが死んだ!タロウも死んだ!」で死んだタロウを復活させたウルトラの国の「ディファレーター」という機械とか,「ウルトラマンレオ」第50話「レオの命よ!キングの奇跡」でバラバラになったレオを復活させたキングの奇跡とかが挙げられます。

しかし、こういうのを見ていると「ウルトラ族って死なないのか」と思えてきますが、違うと思います。
自分の考えはこうです。
そもそもウルトラ族は肉体と魂とを分離させていて、その魂こそがカラータイマーなのです。
カラータイマーさえ無事なら、肉体は自然にでも再生します。
また、「ウルトラマンタロウ」第52話「ウルトラの命を盗め!」で怪獣ドロボンが新マンに対し、地球を救いたければカラータイマーを寄越せと要求し,自らカラータイマーを外した新マンの体はしぼんでしまい,カラータイマーをつけたドロボンは新マンの技が使えるようになりました。
さらに、「ウルトラマンエース」第14話「銀河に散った五つの星」でウルトラ兄弟からエネルギーを抜き取ったエースキラーがそれだけでスペシウム光線やエムリウム光線を使えるようになったのも同様の効果でしょう。
おそらく、ウルトラの父の持っていた機械は肉体の再生を補助する装置であり,キングの奇跡というのはそれに近い超能力であり、また,ウルトラの母をはじめとする銀十字軍もキングの超能力に近いものを持っているのではないでしょうか。
では,カラータイマーが破壊されたらウルトラ族は死ぬのでしょうか。
そうとばかりはいえません。「ウルトラマンタロウ」第18話「ゾフィーが死んだ!タロウも死んだ!」でカラータイマーを破壊されたゾフィーは蘇っています。
おそらく「カラータイマーさえ無事なら肉体は再生する」のと逆に「カラータイマーのみを破壊されても肉体が無事ならある程度は再生の可能性がある」のでしょう。
カラータイマーは機械らしいですので「ディファレーター」とは故障したカラータイマーを修理する機械なのではないでしょうか。
では,どうなったらウルトラ族は死ぬのでしょうか?
ヒントは「ウルトラマン」第
39話「さらばウルトラマン」にあります。
助けに来たゾフィーに対し、ウルトラマンは「その命はハヤタにあげてくれ。私はもう
2万年も生きた。」と答えます。
つまり、ウルトラ族は自分が「もうだめだ」と思ったら死ぬのです。格闘技でいうところの「心が折れる」というヤツです。
無敵の強さを誇るウルトラ族にとって「負ける」ということは重大な意味を持っていると思われます。
一度の負けで諦めるかどうかが一般兵とウルトラ兄弟の差なのかもしれません。
ここで、話はジャッカル編に戻ります。
ウルトラマンに新マン、エース、タロウは過去に一度敗れた相手に再度敗れます。これは「心を折る」のに十分な出来事でしょう。
ただでさえ、一度負けた相手というトラウマがある上に、より強力になって蘇ったのですから。だから再生が遅かった。
しかし、キングから「あれはジャッカルの変身だ」と知らされる。ならば、歴戦の勇士であるウルトラ兄弟のこと「もう一度闘えば勝つ」と考えるに違いありません。
だからこそ、あの最終回で「キングの奇跡」は発動し、復活を果たした。
また、変身していないジャッカルに対して本来の実力を発揮して、勝つことができた。
と、どうでしょうこの考えは。自分としては本編の実例ともリンクする面白い考えじゃないかと思うのですが。

最後にひとつだけツッコミを。
なんでレオとアストラは復活しなかったんでしょうね。
ジャッカルにやられたわけじゃないセブンは復活してるのに。
やっぱり、M78星雲出身じゃないから?


では続いて
「若きファイタスの挑戦」
この作品は大好評を博したコロコロウルトラマン増刊の第2号の目玉として書き下ろされたものです。
「ジャッカル編」の続編です。
掲載時期は昭和52年。

では,あらすじから。

ウルトラ道場で師範代を勤めるウルトラセブンのもとに他流試合を求めるファイタスという若者が訪れる。
セブンはウルトラ道場が他流試合厳禁であるとして勝負を避けるが、その強さは感じていた。
しばらく後、ウルトラの国の一角で爆発事故が起こる。
ウルトラ兄弟は調査に向かうが、これはおとりだった。
ウルトラの母がさらわれ、現場にはセブンに当てたメッセージがあった。
セブンは要求どおり単身指定された場所に向かう。
そこで待っていたのはジャッカル軍団の生き残りとファイタスであった。
ジャッカル軍団の前で雌雄を決しようとするファイタスとセブン。
しかし,ファイタスはセブンに「勝負の前にごみ退治をしよう」とささやく。
ジャッカル軍団の隙をつき、襲いかかる二人。
四天王はウルトラの母を殺そうとするが、その時アンドランが母を救った。
そう、メロスだ。実はファイタスはメロスの弟でジャッカル軍団の残党の討伐を命じられていたという。
ウルトラ兄弟も合流し、ジャッカル軍団を今度こそ全滅させる。
そして改めて雌雄を決する二人。
ファイタスは言う。
「ナンバーワンは一人でいい。」
勝負は一瞬にして決まった。
セブンの勝ちである。また一人、己の強さに命をかけた若者が散った。



前述のとおりジャッカル編一挙掲載で人気を博したコロコロウルトラマン増刊の第2号に書き下ろされた本作のウリはメロスの再登場とジャッカルとの決着、そしてセブンの活躍でしょう。
ジャッカル編で活躍できなかった鬱憤を晴らしてるようにも見えますが。ところでファイタスのあの格好もメロス同様ヨロイまたはスーツを着ていたのだと思いますが、素顔はどんなものなのか見てみたかったです。


コミックス第3巻@闘え!ウルトラ兄弟と第4巻の4本については残念ながら掲載誌、掲載時期共に不明です。
ただ、自分は全てコロコロコミックで読んだのですが、前後編なのにコロコロには一挙掲掲載されていたことから、初掲載は学習誌と思われます。
また掲載時期は昭和52年から54年ごろでしょう。

では順にいきましょう。
単行本第3巻「闘え!ウルトラ兄弟」です。
パトロール艇のキャプテンを務めるレオは謎の艦隊と遭遇する。
それは宇宙海賊パイレーツのものだった。
撃墜されるパトロール艇。
消息を絶ったレオを救うためゾフィー、ウルトラマン、セブンの3人はウルトラ戦艦5隻で出撃する。
レオを発見し、パイレーツは地球を狙っているという話を聞いたゾフィーはそのまま追跡することを決定する。
ところがパイレーツの待ち伏せにあい、操縦桿を奪われ、次々と撃墜されるウルトラ戦艦。
残るはゾフィー達の乗る旗艦のみ。ゾフィー達も徐々に追い詰められ、操縦系統を奪われる。
ウルトラ戦艦を地球征服に使用されるくらいなら自爆を、と決意するゾフィー。
すんでのところで爆風で気絶していたため難を逃れたセブンが駆けつける。
操縦系統を取り返し、パイレーツの戦艦を撃墜する。またしてもウルトラ兄弟の活躍によって地球は救われたのだ。


この作品以降、メカを使うウルトラマンの描写が多くなります。
自分としてはウルトラマンが巨大に見えなくて好きではないんですが、結構好評だったらしく、後発の「ザ・ウルトラマン」(アニメ)や「アンドロメロス」、そしてその漫画版である「ウルトラ超伝説」にもウルトラ戦艦が登場します(デザインは違いますが)。


次は、
単行本第4巻第1話「月面要さい大作戦」
ウルトラの国が誇る大要塞が謎の円盤に破壊される。
ウルトラの父は直ちに最高会議を開くが、ウルトラの父以外の幹部は大要塞が破壊されるわけがないと考え、出撃の必要を認めない。
エースとタロウは確認に飛び、謎の円盤と遭遇する。
謎の円盤の正体はベーダー人で、その進行上に地球と光の国があることが判明した。
エースはゾフィーに連絡し、ゾフィーはウルトラ兄弟と共に地球に向かう。
ウルトラ兄弟はゾフィーの権限で動かせる200名のウルトラ忍者部隊と共に月面に要塞を築く。
100日寝て100日起きるベーダー人が眠りの周期に入っているうちに要塞を完成させなくては勝ち目がない。
しかし、ついに要塞は未完成のまま、戦闘に突入する。
苦戦するウルトラ兄弟。
陥落寸前の月面要塞にベーダー総統が姿をあらわす。
ウルトラ兄弟は全員の残ったエネルギーをゾフィーに集め、ゾフィーは総統に向けてビックM87光線を放つ。
一瞬にして消滅するベーダー総統。
ウルトラ兄弟の勝利だ。またしても地球はウルトラ兄弟に救われたのだ。


この話の見所は赤と銀の配色が通常と逆になっているウルトラ忍者部隊でしょう。
これも内山オリジナルといえばいえるんでしょう。
カラーで見てみたかったです。それとゾフィーがビックM87光線を打つ際、兄弟のカラータイマーのエネルギーをゾフィーに集めますが、ゾフィーが「それでは君達が死ぬ」といい、エースが「すぐにディファレーターにあたれば生き返れる」といっているところなど前述のカラータイマー論と合致してると思うのですが。


続いて
、単行本第4巻第2話「友情は永遠に」
ある日タロウは幼馴染のエルフがバルタン星人の王になり、宇宙征服をたくらんでいるという噂を聞く。
実際、バルタン星人は戦力を増強しており、このままウルトラ族と全面戦争になれば双方に多大な被害が出る。
タロウは司令官にエルフの説得を進言する。
許可をもらい、単身バルタン星に赴くタロウ。
タロウはバルタン星人の王、キングバルタンとの面会を求めるが問答無用で襲い掛かる戦闘隊長のレッドバルタン。
やむなくタロウはウルトラダイナマイトとストリウム光線でレッドバルタンを倒す。
その戦いを見たキングバラタンがタロウの前に姿をあらわす。
今の戦い振りに免じて見逃してやるというキングバルタンに対し、エルフを探し出すまでは帰らないというタロウ。
キングバルタンとも闘いになり、虚をついてストリウム光線を浴びせるタロウ。
するとバルタン星人の仮面が剥がれる。やはりキングバルタンはエルフだったのだ。
タロウの友情に打たれ、宇宙侵略を思いとどまるエルフ。
しかし、バルタン星人達はエルフを裏切り者として、タロウともども独房に監禁する。
脱出のためタロウはウルトラダイナマイトを使用する。
ウルトラダイナマイトを真近に見て驚くエルフ。なんと、衝撃でバラバラになったタロウの体が復元していくのだ。
脱出した二人は動力炉の破壊を目指す。
動力炉まではたどり着いたものの破壊する方法がない。
エルフはタロウにウルトラダイナマイトの原理を聞く。
コツは心臓に力を集めることにあり、一度集まった力が再び出ようとするのを利用するのだ。
しかし、復元は練習しなくてはできない。
エルフはタロウに礼を言い、動力炉に飛び込む。ウルトラダイナマイトを使って中から動力炉を爆破するつもりだ。
間一髪脱出するタロウ。
バルタン星は大打撃を受け、しばらくは宇宙侵攻どころではないだろう。
宇宙の平和は守られたのだ。しかし、タロウはエルフを助けたれなかった自分の不甲斐なさしか感じられなかった。


メロス、ファイタスに続く3人目のオリジナルウルトラマン、エルフ登場。
メロスがウルトラマン系だったのに対し、エルフはセブン系のデザインです。
なかなかかっこいいのですが、額の星マークはちょっと…。しかし、エルフもひどいヤツですね。
自分で宇宙侵攻計画を立てておいて寸前で裏切って動力炉まで爆破しちゃうんですから。
バルタン星人こそいい迷惑ですよ。
ところでウルトラダイナマイト使用後の体の復元、これもカラータイマー論で説明がつきます。



単行本第4巻第3話「1ダースの特攻隊」
ウルトラの国にアヌビス星人から通信が入る。
我々に降伏しなければ超空間破壊砲でウルトラの星を破壊すると。
最高会議では玉砕か降伏か意見が2つに別れたが、どちらにせよ、ウルトラ族にとって辛い選択であることに変わりはなかった。
今まで沈黙していたウルトラの父が意見を述べる。
「ウルトラ族に降伏はない」と。
かくして少人数でアヌビス星に潜入し、超空間破壊砲を破壊する特攻隊が組織された。
メンバーはウルトラの父、母、ウルトラ兄弟、レオ兄弟、ウルトラマンキング、メロスの12人。
1ダースの特攻隊だ。
アヌビス星には光線に対するセンサーが配備してあり、光線技は使えない。
途中幾つもの警備網を潜り抜けるが、その度に犠牲者が出る。しかも、助けることはできない。
辛い道のりを経て超空間破壊砲にたどり着いたとき、残ったのはキング、ゾフィー、セブンの3人だけだった。
そして、キングとも別れ、内部に潜入するゾフィーとセブン。
ゾフィーは自らおとりになり、セブンをコントロール室に送り込む。
セブンはワイドショットでコンピュータを破壊しようとするが、途中で光線がかき消されてしまう。
このコンピュータこそがアヌビス星人を操る黒幕で、超能力を持った生体コンピュータだったのだ。
アヌビス星人を見限り、脱出する生体コンピュータ。
セブンはその台座が超空間破壊砲の制御装置であると見抜く。
ウルトラ念力で超空間破壊砲を制御するセブン。
生体コンピュータは自らが作った超空間破壊砲で消滅させたれるのだった。
かくしてウルトラの国消滅の脅威は消え、傷ついたウルトラ兄弟達はアヌビス星人の戦艦を奪い帰還した。


メロス3度目の登場。
話のパターンは完全にジャンプ系ですね。しかし、このコミックス4巻はゾフィーとセブンという組み合わせが多いですね。
ゾフィーの
「これは友人としてではなく、ウルトラ警備隊隊長としての命令だ。」というセリフがかっこいいです。



いよいよ最後です。
単行本第4巻第4話「ゾフィーの危機」
ゾフィーが命を狙われた。
相手はこいつに狙われて生き延びたものはこの宇宙にいないという暗殺のプロ、忍者暗殺星人アサシン。
ウルトラ兄弟は負傷したゾフィーを守るため防衛網を張るが、アサシンはそれをあざ笑うかのようにすり抜け、新マン、セブンをも倒す。
ウルトラ兄弟は最後の手段として、エースのスペースQのウルトラの国での使用を許可する。
特殊合金に覆われた特別病室にすら潜入し、ゾフィーにとどめをさそうとするアサシン。
間一髪間に合ったエースはアサシンに向かい、スペースQを放つ。
だが、スペースQですら、アサシンは倒せない。それどころか脳震盪を起こす程度の効果しかないのだ。
だがその時エースはアサシンの使用している刀が落ちていることに気づく。
忍者暗殺星人が使用している刀なら忍者暗殺星人も切れるはずだ。
エースの声で刀を拾ったタロウがアサシンに切りかかる。
ついにアサシンを倒したウルトラ兄弟。
しかし、アサシンにはいかなるウルトラ技も通じなかった。恐ろしい敵だった…。


「ザ・ウルトラマン」4巻P.163より引用。
忍者暗殺星人アサシン。内山まもるのオリジナル宇宙人なれど、見る者に嫌悪感を抱かせる素晴らしいデザイン。
ジャッカルとは、また異質な怖さを感じさせてくれる。

最終話にして、ジャッカルをも凌ごうかという、最強の敵の登場です。
ジャッカルが苦手な敵に変身して、不意打ちに近い形でウルトラ兄弟を倒したのに対して、アサシンは正面から(殺してこそいないものの)ゾフィー、セブン、新マンを倒しています。
しかも、メタリウム光線、ストリウム光線、数人のウルトラ戦士のスペシウム光線を同時に受けて、平然としており、スペースQの直撃を受けても脳震盪しか起こさないという化け物です。
アサシンの刀を拾うことができなかったらどうするつもりだったんでしょう。
ちょっと思ったのですがウルトラ族というのは全国民の平均的な強さは宇宙で一番強い。
でも、他種族の突然変異的に強い奴らはウルトラ族の中でも強いヤツ(つまりウルトラ兄弟)よりも強い。
ただ、そういうやつはあまりにも数が少ないので、ジャッカルやアサシンのように多人数であたれば何とかなる。
うーん。ウルトラ族って「最強」というわけではないのかも。
ところで、この話では個人的に好きなんだけどいまいち目立たないエースが活躍してくれてうれしいです。
オフィシャルの設定でも個人で放つ光線技ではエースのスペースQはゾフィーのM87光線に次ぐ威力なのですよ。
さて、長らくお付き合いいただいた「ザ・ウルトラマン」レビューもこれで終わりです。

最後に「ウルトラマンティガ」についても少し。
掲載誌は「宇宙船」、掲載年度は平成10年です。平成ウルトラマンの復活に合わせて、「ザ・ウルトラマン」の作者にコミカライズを担当してもらうというナイスな企画です。
宇宙船の編集部、さすがわかってますね。
申し訳ありませんが、自分はティガを見ていなかったため、どの話のコミカライズかは判りかねます。
今後わかったこのコーナーでアップしたいともいますのでお待ちください。
では。


注:2007年7月現在。内山先生は、なんと「テレビくん」誌上で、ウルトラマンメビウスの外伝を手掛けています。
ウルトラマン近況 参照


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