
〜こりゃ、女房を質に入れてでも読まにゃ!〜
「ネオ格闘王伝説 Jr.WARS(ジュニアウォーズ)」 全1巻
少年チャンピオンコミックス
出版社:秋田書店
作 者:上川端 通
掲載雑誌:月刊少年チャンピオン
掲載時期:1989〜90年頃(?)
この作品は、私が古本屋をなにげなく覗いた時に、偶然見つけたものです。
なんとなく、本を手にとり、パラパラと1,2ページめくったところ、ページから尋常ではない波動が伝わってきて、即購入を決意した次第です。
ちなみに波動分析機を用いて、波動値を測定したところ、(+98)という驚異的な数値が出ております(嘘)。
《ストーリー解説》
この物語は、未来の格闘家達の熱き血潮が燃えたぎる格闘絵巻である。
時代は、2008年 (掲載時のちょうど20年後)。
かつての偉大なレスラーや格闘家達の息子もまた、父親と同様に、最強を目指して格闘ロードを突き進もうとしている。
この頃、彼等は、もはや偉大な”格闘家の息子”という色眼鏡で見られることもなく、自身がカリスマ的な格闘家として名を挙げていた。
彼等、超一流の格闘家達が集い、マットの上で魂をぶつけあう。
そのうちマジで、こういう銅像が建つかも知れんなあ・・
《ネオ格闘王伝説JR.WARS P.16より抜粋》
作中に、登場する格闘家たち
(ジュニア選手)
前田 日光 (前田日明 Jr)
獅子王 寛 (アントニオ猪木 Jr)
ベニー・ユキーデ Jr
マイク・タイソン Jr
モハメド・アリ Jr
長島一茂 (もはや、誰もジュニアとは呼ばないってことか。フッ)
(既存の選手)
アントニオ猪木
前田日明
藤波辰巳
カールゴッチ
タイガー・ジェット・シン
その他、藤原、山崎、高田、船木、長州、馬場、新間(選手じゃないけど)
この作品は、設定よりも、まず作者の描きたいものありき! が出発点です。
モハメドアリとマイクタイソン、ベニーユキーデと前田日明。
そして、前田と猪木。
こいつらが本当に戦う姿を見てみたい。
だが、現代では実現はありえないし、そもそも現役選手としてのピークの時期がそれぞれ違う。
だが、未来なら。
彼等とまったく同じ格闘家としての資質を備えた息子達が、同年代に生まれたなら。
作者の妄想が膨らみます。
「こいつぁ、漫画にするっきゃねえッ!!」
おそらく、モチベーションの源は、こういうところだろうと思います。
この作品を読んで、誰でも思うこと。
「あの〜、格闘家の子供だからって、そんなに都合よく男が生まれて、しかも格闘技の素質を持ってて〜。さらに全員が同年代に生まれるなんて〜、そんなの現実に絶対あるわけないと思うんですケド〜。」
だが、このようなツッコミは、拒否だ!!
断固拒否!!
なんの意味もなさない。
現実にありえない出来事を大真面目にえがく。
これぞ、創作。
物語の王道。
この事が解らず、なにかを勘違いしているクリエイター達は、リアルだなんだと理屈を付けて、自らバイタリティを貶めてしまう。
これでは、訳がわからない。
痩せた考え。(ぼそっ)
生涯、地を這う。(ざわざわ・・)
私が、この作品を読んだ感想を一言でいうと
「見事なり!」
まこともって、その一言に尽きてしまう。
この作品から伝わってくる作者のメッセージ、それは
「オレが抱くプロレスの幻想(つーか妄想)、想いの丈を全て、ありったけ原稿にブッつけた!文句あるかッ!」
である。
この漫画の作者である上川端氏の素晴らしいところは
「現実の格闘技界が、本当は将来、どうなるのか?
そんなこたぁ、オレの知ったこっちゃねえよッ!!」
っていう、見事な執筆姿勢にあります。
作者の気概がビンビンと伝わってきます。
まあ、などといいつつも実の所、この作品はかなりツッコミ所満載なのですが、このマンガから発せられるあまりにも強烈な作者のパッションを前にして、思わず言葉を失ってしまうのですよ。
波動値の高さは、アストロ球団に勝るとも劣らないくらいでして。
はっきりいって、かなりのバカ作品なのですが・・・
そうですか、一国の総裁ですか・・・。 国が滅びるわ。
《ネオ格闘王伝説JR.WARS P.17より抜粋》
でも、不思議な事に、この作品のバカッぷりを揶揄する気持ちには、まったくなれないのですよ。
おもいッきり笑えるんだけどね。
そして、笑い終わった後に、
「作者の上川端さん。アンタ立派だよ。立派すぎるよ!」
と、深く感じ入ってしまうのだ。マジで。
最後に、格闘技ファンとして、一言。
この作品は、80年代後半に描かれたものなので、当然、その当時の格闘技観が反映されています。
それも、ものスゴ〜クわかりやすい形で。
古参のプロレスファンには、その辺も楽しめると思います。
80年代後半のこの時代、格闘技界には「総合」というキーワードが芽生え始めました。
それは、UWFというプロレス団体が起こしたムーブメントによるものでした。
そして、UWFの象徴というべき男が、前田日明でした。
当時、UWF信者なんて言葉があったくらいで、かくいうボクも、この頃はUWFが提唱するキックやサブミッション(関節技)に心酔しておりました。
しかし、Uの象徴である前田に心酔する一方、既存のプロレスの中で格闘ロマンを与えてくれたアントニオ猪木にたいする尊敬もあったのです。
この二つは、やや矛盾するところがあって、当時のプロレス格闘技ファンは、このジレンマをいかに消化するかが一つの課題でもありました。
今となっては懐かしいですが、「JR.WARS」には、当時のそんな雰囲気が感じられるのです。
プロレスに対する幻想がもっとも大きかった時代であったと言えると思います。
とにかく、
カビの生えたプロレスファンなら、女房を質に入れてでも読むべし。
ですだ。
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