「極道めし」 1〜2巻(2008.3.21現在連載中) 作者:土山しげる 出版:アクションコミックス
―漫画メシ魂の源がここにある。―
本作の内容は、刑務所にいる受刑者達が順番に旨い物の話をして、誰が皆の喉を
多く鳴らしたか(どれだけ旨そうな話をしたか。)を競うというものだ。
本作の登場人物が、旨い物を作るでもなく、食べるでもなく、ただ“旨い物の話をする”
だけという、しかし、その構造がなんだかとてもおもしろい。
本作の登場人物は、通常のグルメ漫画における読者の立場にいて、私達読者はまた
それを眺めるという、グルグルした感覚がとてもおもしろい。
この登場人物が読者の立場にいるというのがミソで、彼等のやり取りを通じて、作者の
漫画観であるとか、料理マンガを描く上でのポリシーが伝わってくるのだ。
作者の漫画観は、娯楽漫画の王道を貫いており、すごく堂々としている。
B級であることの引け目など微塵も感じず、読者を楽しませることを第一義に堂々と
道の真ん中を歩いている。
痛快ですがすがしい。土山マンガは、すがすがしい。
さて、現在の料理マンガの世界では、大体全てのジャンルが出尽くしてしまった感がある。
最近の傾向としては、より細分化して深化する方向へと進んでいて、例えば、近年始まった
連載の中には、和菓子の世界に特化した「あんどーなつ」や、チャーハン専門の「華中華」
という作品がある。チャーハン専門ですよ!?
どちらも読んでいて楽しいし、未知のジャンルのうんちくが面白いが、料理マンガの世界が
全体的に少し閉塞気味になっているのは確かだろう。
そんな状況の中で、土山しげるは、「喰いしん坊」と本作「極道めし」と、ジャンル不明の料理
マンガ(?)を立て続けに発表し、既存の枠をたやすく飛び越えてしまったのは、実に気持ち
よかった。
極道めしを初めて読んだときは、ボクは「やったー!」って気持ちになって、拍手喝采でしたよ。
愉快痛快だ。
最後に、これが一番言いたいことで本題なのだが、
本作「極道めし」は、種々のエピソードを通じて、当コンテンツの原動力、漫画メシ魂、つまり
漫画の世界の料理に強く惹かれる心とはどういうことかを、はっきり表してくれた。
読者が”旨そう”と思うことはどういうことなのか。そして、作り手は何を心掛けるべきなのか。
はっきり書かれていないにも関わらず、はっきり描いている。
漫画メシ魂の本質をズバリ貫いている。その本作「極道めし」は、
料理マンガが行き着くところの答えの一つである、と言いたい。
以上。おわり。
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