『ゴジラ×メカゴジラ』 (監督:手塚昌明 2002年 東宝)
2000年から再開したゴジラシリーズも早4作目。
VSビオランテからVSデストロイヤまでを平成ゴジラというならこのシリーズはミレニアムゴジラとでもいうのでしょうか。
まあそれはともかく、メカゴジラとの4度目の対決。キングギドラに継ぐ歴代2位となります。
タイトルも昭和が対メカゴジラ。平成がVSメカゴジラ。さてミレニアムではどうするのかと思ったら×メカゴジラ。
苦労が忍ばれます。
で、内容なのですが、設定上は面白いと思うのですが、どうもツッコミ不足な感は拭えません。
では、無粋を承知で簡単なストーリーの流れと、個人的に「こうしたらよかったんじゃないのか」という感想を紹介しましょう。当然ながらネタバレとなりますので未見の方はご遠慮ください。
冒頭1997年のテロップと共に台風の情報を写すニュース。そこに1954年以来約40年ぶりの日本上陸を果たすゴジラ。
対するは初代ゴジラ以来モスラ、バラゴン、サンダ等名だたる怪獣の撃退に尽力したメーサー車部隊。
この出だしはかなり好きです。「モスラ」、「フランケンシュタインの怪物対地底怪獣」、「サンダ対ガイラ」のフィルムがスクリーンで見れたのも儲けたという感じだし。
しかし、このあとがちょっと…。
メーサー車の操縦をしていた自衛隊員家城茜(釈由美子)は自分の操縦ミスでメーサー車を自衛隊の車に接触させてしまい、その車はゴジラに踏み潰され、乗っていた自衛隊員は死亡する。
何とかゴジラは進路を変え、日本は壊滅を間逃れたものの、茜は責任を追求され、閑職に追いやられる。
そして5年後、再度のゴジラ上陸を阻止すべく組織されたメカゴジラ部隊通称「機龍隊」の一員に茜は選ばれる。
さて主人公の茜の登場だが、まずいけないのは茜が優秀に見えないこと。
責任を追及されるシーンで「一言の弁明もございません」とかっこいいセリフを言うのだが、そりゃーそうでしょうよ、本当に茜の操縦ミスなんだもん。
だから5年後何故機龍隊のメンバーに茜が選ばれるの全然わからないし、ご丁寧に隊長はゴジラに踏まれて死んだ隊員の弟までメンバーに加える。
この隊長何考えているのかよく分らない。
自分の部隊を使って青春ドラマがやりたかったとしか思えないですよ。
せっかく初代ゴジラをからませるのだから、【茜の祖母が初代ゴジラ上陸の際に被爆して白血病で死んでいる。
茜の母も白血病で死んでおり、自分自身もいつ病魔に冒されるか分らない。もしくは既に病状が出ており、97年の操縦ミスはそのせいである。そしてそのことを隊長は知っている。】としますね。
そうすれば、何故、女性の身で対ゴジラ部隊に志願したのか説明がつくし、もともとの才能+ゴジラへの憎しみによる訓練で部隊でもトップの実績をあげたという風にできるでしょう。
機龍(メカゴジラ)にはオキシジェンデストロイヤーで死んだ初代ゴジラの骨から採取された細胞から作ったニューロコンピュータが組み込まれており、その闘争本能や戦闘のセンスが組み込まれ、また、武装はまだ理論段階だった新型兵器を積み込んだスーパーウエポンである。
ニューロコンピュータを作成した湯原博士(宅麻伸)は妻に先立たれ、男手ひとつで娘を育てているが、茜に興味を持ち、モーションをかける。
まず、湯原博士絡みの部分は全部要りません。
初顔合わせの真っ最中に自分のキャラもかえりみず茜をナンパする姿ははっきり言ってむかつきましたよ。
自分の顔と年齢をもう一度確認してからこいよ、おっさんと言う感じで。
それと博士の娘が誰にも必要とされない自分とただ存在するだけで嫌われるゴジラを重ねあわせ、同情しますが、こういうゴジラ擁護論はもう止めてください。
ゴジラを怪物にしたのは人間かもしれないがそのせいで今生きている人間がゴジラに蹂躙されていいとはならないでしょう。
まあ、平成ゴジラシリーズの「ベビーゴジラ」とかの目に見える擁護の対象がない分だけ、今回は「子供のたわごと」と聞き流せるからましですが。
2003年、再び姿をあらわしたゴジラに機龍が挑む。機龍はその実力を発揮し、ゴジラを撃退する。しかし、闘いの最中、機龍のニューロコンピュータがゴジラの咆哮に反応、暴走してしまう。
2時間後、エネルギー切れで機能を停止した機龍に対し、湯原博士はニューロコンピュータの神経細胞に塩基を追加することにより、暴走を抑える。しかし、その性能は下がってしまった。
生物の神経細胞を使用したニューロコンピュータという段階でもうよくわからないのですが、ゴジラの咆哮が引き金になって暴走となるもう何がナンやら。
これなら【初代ゴジラの細胞でゴジラのクローンを作り、これをサイボーク化する.(おお、永井豪のマシンザウラー)としたほうがよかったのでは。それなら暴走も理解できるし。
ましてや、ニューロコンピュータの神経細胞に塩基を加えるって、そんなことしたらゴジラの細胞使う意味がなくなっちゃうんじゃないですか?
それと機龍の扱い。暴走して街を破壊した兵器を再び使用するなんて絶対にありえないと思いませんか。
たとえ、それに変わる有効な対抗手段が無いとしてもです。
三度ゴジラが上陸し、機龍との最後の決戦が始まる。性能が落ちた機龍は必殺の絶対零度砲を外し、エネルギー切れとなってしまう。
作戦本部は関東全域の電力を使用し、機龍へのチャージを行うが、その間に機龍をコントロールする飛行機が落とされてしまう。
絶体絶命の中、機龍のコクピットに移り手動で機龍を再起動させる茜。
茜はゴジラに接近しゼロ距離から絶対零度砲を放つものの、機龍もゴジラの熱線により作動不能に陥る。
機龍の善戦を認めたかのように海に帰るゴジラ。そしてエンディング。
それにしても、暴走、必殺兵器を使用するために民間のエネルギーを使用、バーニアをふかして相手の懐に飛び込む戦法等非常にエヴァンゲリオンに似ていますね。
エヴァ自体が帰ってきたウルトラマン等特撮作品のカメラワークなどをリスペクトしているのである意味先祖返りといえるかもしれませんが、もう少し上手くやってほしかったなあ。
あれじゃパクリと言われても仕方ないんじゃないかと思いますが。
まあ、それはともかく、最初からリモートコントロールされることを前提に作られた機龍に何故コクピットが有るんでしょう?
劇中湯原博士が茜に「そこからメンテナンス用のコクピットに入れる」と言っていますが、何故コンピュータの専門家の湯原博士がそんな機体制御のことまで知っていたんでしょう。
それとメンテナンス用のコクピットってそもそも何?
動きを確かめるためのもの?そんなものに実際に全操作権を集中させることができるの?
どうもこの部分があんまりにも突然で納得がいかないのですが、【当初は有人での操縦を前提に製作し、テストを行ったが、パイロットへの負担が大きすぎるため無線式に変更、コクピットは封印した】とかいうシーンが入っていればよかったのに。
で、ラストシーンなんですが、ゴジラが海に向かって歩いて行くんですよね。
総理たちはこの引き分けは勝ちに等しいと喜んでいますが、もし、あそこでゴジラがくるっと振り向いたらどうするつもりだったんでしょうか。
もう機龍も動かないのに。
あのゴジラの去り方はせめて【水中に姿を隠し、作戦本部でレーダー担当が「ゴジラが離れていきます」と報告する】とかにしてほしかったなあ。
まだ上半身が見えてるのに喜んでるんだもん。
まあ、全体として、ストーリーは細かいツッコミ所がありすぎるので50点。
特撮は70点にエヴァに似ていることをオリジナリティの欠如と見るなら−20点。
エヴァを実写で表現したとポジティブに見るなら+10点と言うところでしょうか。
あとある意味一番問題の釈由美子ですが、演技の部分はともかくアクションの部分はよくがんばったんじゃないでしょうか。
個人的には合格だと思いますね。
少なくても84ゴジラやGMKのヒロインよりはずっとましです。
併映のとっとこハム太郎とあわせて、3時間頭を空っぽにして見ましょう。きっとアルファー波が出て、脳内麻薬の分泌が促進されること間違いなしです。