スーパーロボットマガジン休刊に寄せて


双葉社から発行されていたスーパーロボットマガジンがこの度通算14号にて休刊することとなった。
今週のイチオシでも度々とりあげていた事もあり、ここに簡単にだがスーパーロボットマガジンという雑誌がどのような本だったかを書き記しておこう。

そもそも、ロボットアニメの漫画化(オリジナルも含むのでコミカライズとは限らない)だけで雑誌を作ってしまうという発想の大本になったのは同じ双葉社が発行していた「月刊ファミコン王国」という雑誌であった。
これは各号テーマとなるゲームを決めて各漫画家が競作する(主に4コマ漫画)という雑誌で更に遡るとB5版の「ゲームコミックアンソロジー」というコミックスであった。
このコミックスの人気が高かったため雑誌化したのだが、雑誌とコミックスでは減価償却の最低冊数が違いすぎるため、この「月刊ファミコン王国」は通算12号をもって休刊することになる。
その休刊号のテーマが「スーパーロボット大戦」シリーズだったのである。
幸か不幸かこの休刊号は石川賢本人による読み切り「ゲッターロボ対ゲッターロボG」が掲載されていたため、伝説の本となる。
双葉社はその反響の大きさから休刊号をほぼそのままコミックスという形で再版、これが「スーパーロボット大戦アンソロジーコミック」である(余談だがゲッター対ゲッターGの初め5頁はカラーで描かれており、このカラーバージョンが見られるのは月刊ファミコン王国最終号のみである)。

このコミックスはかなり話題となり続巻が発行される。
メインは石川賢書き下ろしのゲッターシリーズと富士原良幸の各スパロボ(ゲームの方)の最終面を漫画化したシリーズ。
特に前者は前作「ゲッターロボ號」で完全に完結したと思われたゲッターロボシリーズのミッシングリングを埋める形で展開し、新たなるゲッターサーガを生み出すことになった。
こうして新作スパロボの発売に合わせて発行されるという変則的な発行方式で「新スーパーロボット大戦アンソロジーコミック」、「スーパーロボット大戦Fアンソロジーコミック」、「スーパーロボット大戦F完結編アンソロジーコミック」、「スーパーロボット大戦コンプリートボックスアンソロジーコミック」、「スーパーロボット大戦F PS版アンソロジーコミック」、「スーパーロボット大戦F完結編 PS版アンソロジーコミック」と発行されることになる。

このあともゲームのスパロボシリーズは名を変え機種を変え、継続していくのだがアンソロジーコミックはここで一旦終了となり、双葉社は新たなレーベルを発行して行く。
それはゲームのスパロボに囚われない、元になったアニメ作品のアンソロジーコミックの発行である。
第1弾は「マジンガーZ」。
メインはやはり石川賢で、氏の筆による20年ぶりの兜甲児が見られる。
第2弾は「ゲッターロボ」、以下「超電磁ロボコン・バトラーV&超電磁マシーンボルテスX&闘将ダイモス」、「無敵超人ザンボット3&無敵鋼人ダイターン3」、「聖戦士ダンバイン」と続くのだが第3弾より本シリーズには強力な助っ人が参戦する。
それは当時「機動戦士vs伝説巨人」でマニアの注目を集め、「機動戦士クロスボーンガンダム」や「超獣機神ダンクーガBURN」等で新時代のコミカライズを手がけていた長谷川裕一である。
こうして満を持して「スーパーロボットマガジン」は創刊されることとなるのである。

長い前フリだったが、続いて雑誌としてのスーパーロボットマガジンについてみてみよう。

発行は隔月刊。
メインはスーパーロボット大戦アンソロジーコミックからの常連、御大 石川賢。作品は「ゲッターロボ號」の更に後の時代を描き、ゲッターメインパイロットである流竜馬の息子、琢馬を主役とした「ゲッターロボアーク」。
同じく富士原良幸は当初はゲーム「スーパーロボット大戦α外伝」の最終決戦のコミカライズ「鋼の救世主」。
新規参加の長谷川裕一はコン・バトラー&ボルテス&ダイモスの東映ロマンロボシリーズを同一の時系列にておこった物語として、この後日談を描いた「超電磁大戦ビクトリーX」を各自連載。
その他編集部が選んだ作品についての紹介・考察にあわせてコミカライズを掲載するという方式を取った。

しかし、この面白さは1年ほどであった。まず、号ごとに作品を選ぶやり方だが、サンライズ系などの有名どころは既にアンソロジーコミックで描かれており、目新しいネタがない。かといってメカンダーロボやグロイザーX等この時点ではゲーム「スーパーロボット大戦」シリーズに参戦していない、非メジャー作品を取り上げると今度は描く漫画家も内容がわからないというジレンマに陥ってしまったのである。
結果、この特集と漫画とは段段関係が無くなり、環望の「第2次スーパーロボット大戦」のコミカライズや津島直人の「マジンカイザー」等連載が増えた分、雑誌としての統一感が失われたことはいなしめない。
更に、富士原良幸は「鋼の救世主」終了後、ゲーム「スーパーロボット大戦α」より登場した、「龍王機」、「虎王機」という古代中国にて作られたスーパーロボットを主役としたインサイドストーリー「龍虎王伝説」を開始するが、この作品、キャラクターはオリジナルであり、コミカライズでこそ生きる彼独特のキャラクターの動かし方の魅力が半減してしまった。
編集部の迷走は更に進み、「マジンカイザー」を完結させた津島直人の次作を「トランスフォーマー」とし、雑誌全体としてもトランスフォーマーを持ち上げる体制をとったが、トランスフォーマーほどコミカライズに向かない作品というのも珍しいのではないだろうかと自分は思う。あの作品はストーリーなど無いに等しいのだから動いて喋っているのを見てナンボである。
そんなことも分からないほど方向性を見失ってしまった雑誌が休刊となるのもやむなきといったところだろう。

かくしてまたもゲッターは未完となる憂き目を見たが、そんな中、「超電磁大戦ビクトリーX」が無事完結を迎えたことは大きな収穫といえよう。
特に第2部では、この作品の元ネタであるロマンロボシリーズの監督であった長浜忠夫氏が急逝されたため、シリーズとしては鬼っ子的扱いとなっている「未来ロボ ダルタニアス」を参加させた意義は大きい。
それにしても、アンソロジーコミックで人気→雑誌を創刊→コアなファンはついたものの休刊 というパターンはファミコン王国の時と全く同じである。つくづく因果は巡るというべきか…。
最後に一言。巻末に連載されていたプラモ研究家でもある「はぬまあん」氏のいい旅ロボ気分は小品ながら現実世界のロボット(及びその関係物)を題材とし、しっかりと取材がなされた佳作である。ぜひ単行本化を願う。



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