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このたびは、本コンテンツ、ワインビジネススーパースター列伝を読んでいただき、どうもありがとうございます。


まあ、火の酒テキーラをどうぞ。


この物語は、ロバート.M.パーカーjr.という実在するワイン批評家の半生をえがいた自伝的フィクションです。
たいへんユニークで興味深い人物なので、ワインにあまり関心がない方が多いであろう当サイトのお客様にも、
ぜひ知ってもらいたいと思い、このようなコンテンツをつくりました。

制作に当っては、事実に虚構をふんだんに織りまぜ、善悪二元論という頭の悪い作劇手法でもって、
主人公の人生をドラマチックに引き出そうと試みました。
ご覧になる方には事実を誤認されないように、すぐに作り話と分かる挿話や大仰な描写を盛り込み、
眉に唾をつけて読んでいただけるよう工夫したつもりです。

できることなら、このような虚実ないまぜな物語は、ないまぜなまま楽しんでいただけると嬉しいです。




ロバートパーカーがどういう人物かあらためて述べます。
彼はワイン批評家、つまり様々なワインを試飲して品質レベルやスタイルの批評を行うという仕事をする人です。


面白いのは、彼自身の人生よりも、彼の批評の影響力の大きさと、彼をとりまく周りの状況にあります。
たとえば、
 生産者は、ワインのスタイルをパーカーの好みに近づけようとする。
 業者は、パーカーの批評が出されてから仕入れを行う。
 販売店は、パーカーの評価を販売促進に用いる。


そして、一般の消費者は比較的パーカーが評価した手頃なワインを、お店の販促にしたがって手に取ることが増えて、
お金持ちならパーカーが100点を付けたワインが、それ自体がステイタスになるので高くても買う。

もちろん、独自の哲学を貫く生産者や、自分の判断で値を付けて仕入れを行う業者は多くいることでしょう。
自分で試飲して販促を工夫している小売店もたくさんあります。
しかし、一部にはパーカーの批評を基準とした循環ができあがっているわけです。

世界的にワインの味わいが、パーカーの好みである濃くて強いワインに傾いていると言われています。

これって、すごい状況だと思いませんか?
他のジャンルではちょっと考えられないことです。
そんなわけで、パーカーには功罪の両面があるのですが、その絶対値が両面とも異様に高いのです。




その彼がなにをやったのか。なぜそこまでの影響力を持つに至ったのか。

彼はワインをただ単に“公平に批評”するということを行いました。
正直に批評するという、ただそれだけのことで、彼は既存の批評家やライターを押しやって、
圧倒的なファンの支持を集めたのです。

実を言うと、私はパーカーを取材はおろか、こんなコンテンツをつくっておきながらアドヴォケイト誌を読んだこともない。
読もうと試みたことはあるのですが・・・

 「く、くそッ!英文だらけで読めやしねえッ!!」


猪茂原一騎が、またこのざま!
というわけで、本当はパーカーをどう評価するべきか私には分からないのです。

ただ、私は彼の批評が正当かどうかは別にして、正直に行っているというのは確かだと思っています。
彼は酒好きには超有名人で、大成功者ですが、徹底して第三者の立場を貫いているため、
それ程の大金持ちではないようです。

生産者や業者からの便宜を一切退け、雑誌には広告も掲載しない(これはすごいことですよ。)、
立場を利用してこっそりバイヤーでもやれば大儲けできるでしょうが、そういう噂もないようです。

彼は自身を快楽主義と称しています。
快楽主義者というのは欲望が身の丈で限られます。
まったくの想像ですけど、パーカーは必要以上の金と引き換えに不愉快な気持ちになるのは馬鹿げてたこと、
と思うような気がします。

しかし、リベートや権益にこだわる権威ある方々が、清潔に仕事を行う人間を「ケシカラン!」と糾弾する姿を
想像するのは楽しいですね。その糾弾が正論であればなおさら愉快です。





彼は、どんなに批判を受けてもすずしい顔をして、思ったことをパアパア喋る。
どこまでも傾き(かぶき)よります。

以下は日本語訳からの引用ですが、彼本来の言葉にもパーカー節ともいうべき名言があります。

 「品質はまあまあ。しかし、吐き気がするほどの暴利!」
 「古いジンファンデルは死姦趣味だ。」


本コンテンツでは、後述する列伝節の方を優先して、パーカー節を切り捨ててしまったのが残念です。

本や雑誌などではパーカーを紹介する際、彼の点数評価に対する注意等をおりまぜながら行っているものが多く、
ややマイナスイメージが先行するのが、私にはずっと不満でした。
これだけ面白い人物なのだから、まずは全面的に肯定した立場から語ってみようと思ったのが、
本コンテンツの狙いです。


パーカーは、格闘技界で例えるなら、グレイシー柔術の登場と同じくらい歴史的な重要度の高い人物といえるでしょう。

この男、途方もなく面白い。









「プロレススーパースター列伝」(原作 梶原一騎、作画 原田久仁信) について

プロレススーパースター列伝(以下、列伝と呼ぶ。)知る人ぞ知る、プロレス漫画のバイブルであり、私の心の漫画です。

列伝は、エピソード毎に一人の有名レスラーにスポットを当てて、自伝形式で物語を展開するというものですが、
読み方が何層も重なっております。
表面的には、主役のレスラーの自伝ですが、プロレス的なヒーロー像を盛り込むときもあれば、
内側に職業人として当人の哲学を訴える場合もあります。
そして、プロレス自体のロマンを高めるための雑誌媒体における演出の協力も見られます。

人生哲学やプロの誇りといった渋さと、ヒーローを創造しようと笑ってしまうぐらいの大仰な演出が
両立している。大傑作です。

「あしたのジョー」を別格としても、列伝は梶原一騎の最高傑作であるとの声もあります。

私は「四角いジャングル」と比較してどうかとは思うものの、列伝はもっとも梶原一騎の持ち味が活かされ、
存分に発揮された作品であると思います。


また、列伝には独特の列伝ワールド、列伝節ともいうべきセリフ回しが強烈な魅力を放っています。

列伝の数々の名言は、いまだに私の心をとらえてはなしません。たぶん死ぬまでそうだと思います。

本コンテンツでは、その列伝の大好きな名言、名シーンをもとに組み立てました。
トンチキなセリフが多いのはそのためです。



それにしても、梶原一騎の豪胆で力強いストーリーテリングに本当におそれいります。
設定からまるごと創作してしまったり、実在する特定の人物をものすごい悪役や、やられ役に仕立てたりと、
読んでるこっちの方がひやひやするほどです。

もっとすごいのは、梶原一騎は創作にもしっかりと説得力を与えることです。
例を挙げますと、ブッチャーという黒人レスラーでもっとも成功した人物を主役にした時に、
主人公がシンガポールのガマオテナという空手の達人のもとへ訪れるエピソードがあります。
まあ、はっきり申し上げて、ガマオテナ先生なんて方は実在しないでしょうが、
その先生を主人公に紹介する人物が、ぬけぬけと、こんなことを言うのです。

  「シンガポールへ行きな。現地では三歳の子供でも知っている達人だ。」


・・・すげえ。



また、タイガーマスクが主役の話では、こんな場面がありました。

レスラー達が新幹線で移動中、ブラックタイガーというレスラーの暴言が過ぎるため、
ブッチャーが戒めるという場面があります。

 「ヘイ、ブラック!口が過ぎるぜ!」

それにたいして、ブラックタイガーはこう言うわけです。

 「シャラーップ(だまれ)!黒ブタふぜいが、黒いトラに向かって偉そうにほざくなーッ!」


・・・名言中の名言だ。

こんなこと言われたらブッチャーは怒るのが当たり前で、当然、喧嘩になりそうな騒動になります。
そして、締めのナレーションで、「これは新幹線の中で実際に起きた実話である。」と言い切るわけです。

これもはっきり申し上げて、まるごと梶原先生の創作であると断言いたしますが、坂口副社長が仲裁にはいったり、
ブッチャーが悠然と喧嘩を買うあたりが実に良い雰囲気をかもしているのです。
また、喧嘩を売られたブッチャーが、こんな酷い侮蔑の言葉を受けても怒り心頭という様子でもなく、
余裕しゃくしゃくな態度で、やすやすと喧嘩を買う姿がすごくカッコイイのです。



列伝は、良質のプロレスと同じく、見事に八百長を成立させました。
列伝は、プロレスという題材と梶原マジックが見事に融和しており、事実とか嘘とか
かるく飛び越えた魅力あふれる世界です。

本コンテンツでも、列伝にならって嘘エピソードを盛り込むのみならず、特定の人物を
悪役に仕立てました。これは、私には怖かった。
読者の良識を信じつつも、ビクビクしていました。
しかし、この非道なやり方は標的にされた当人には申し訳ありませんが、非常によく物語が締まります。
そして、すごく楽しい。・・・すいません。

列伝では悪役、悪党、やられ役が徹底的に強調されますが、どういうわけか
標的になったレスラーの価値が下がらないという離れ業を見ることができます。

プロレスは性善説。
とは、ターザン山本の言葉だったか本当にそのとおりだと思います。



列伝は、読者自身が真実を見極め、意味を見出すという形式の物語です。
これは消費者である我々がワインを飲む際にも通じることだと思います。
自分がワインを飲んで、満足できたかどうかというのは、主観以外の何者でもなく、自分が決めることです。

その評価が、他人と違っていても、まったく知ったことではありません。
仮に、客観評価において、他人の意見が真っ当で、自分の味覚が偏っていたとしてもです。
そういう意味において、パーカー(赤の他人)の評価なんて、徹底的にどうだっていい。
以上のことを前提に考えると、人様の批評のやり方が点数評価だろうがなんだろうが、嫌う必要もなければ、
妄信する必要も無いと思うはずです。

実際に飲んだ人の正直な意見には、耳を傾ける価値が充分にあります。
しかし、それから意味を読み取り、最後に満足するかどうかを決めるのは、最終的には自らの意思です。
「この私、ルーテーズの意思だ!」というわけです。これは列伝じゃなくて、男の星座のセリフですね。



最後に、重ねてお願い申し上げます。
あまり多くは申し上げたくはありませんが、本コンテンツは嘘だらけです。
しかし、その虚偽の判断は、ぜひともご自分で決めてください。
さらにいうと、その虚偽さえも決めつけずに、そのままに楽しんでいただけたら、私はうれしい。
本当にうれしい。

だらだらと長く書いてしまいましたが、そろそろキーボードを置こうと思います。
ともあれ、ここまで読んでくれた皆様、本当にありがとうございました。



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