嵐を呼ぶジャングル (シンエイ動画製作 2000年4月上映作品)





南の島はいい。
きれいな海と太陽。思い浮かべるだけで、なんか心がふうーっと自由な気持ちになる。
そんな気分を感じた時、心はいちばん楽しかった頃に戻る。
いちばん楽しかったその頃、大好きなスーパーヒーローの世界にどっぷり浸かりきって、大好きなスーパーヒーローと過ごすことを夢見ていた気がする。
お父さんとお母さんとお友達と一緒に、大好きなヒーローと接しながら豪華客船で南の島へ行く。この世でこんなに嬉しいことはありえない。
しんのすけが興奮して騒ぎだすのも当たり前だ。
嵐を呼ぶジャングル(以下、ジャングルと呼びます)は、どういうわけか、クレしんらしからぬ子供よりの作りで大人にはいまいち楽しめない、と称される向きがあるらしい。
そもそも子供映画を子供よりにつくってなにが悪いの?という疑問はおいといて、これまでの劇場板はたしかに大人が堪能できるような題材やギャグが多かったので、そっからクレしんを好きになった人はそう思っちゃうんだろう。
でも、その指摘はじつは適当じゃない。
ジャングルが訴えるメッセージは子供じゃなくて、もろにピンポイントで大人にたいしてのみ、ぶつけているからだ。
ただそれがちょっとわかりづらいかもしれない。というのは大人といってもさらにターゲットが絞られていて、大人というよりはかつて男の子だった人達というか、スーパーヒーローに夢中になって憧れていた、いや、いまだに憧れている、そういうボンクラども、失礼!夢多き男達に向けて発せられてるんだ。
そういう人達にとって、多分にもれずボクもそうだけど、ジャングルという作品はとても居心地が良くて、ヒーローに熱中する小僧どもをやさしく眺めながら、自分が小僧だった頃の忘れかけていた夢想をそっとかなえてくれて、そして本当のヒーローの在り方に打ち震えさせられる、そんなステキ映画なんだ。

「嵐を呼ぶジャングル」劇場用パンフレットの裏表紙から引用。
監督がパラダイスキングに、どれほど入れ込んでいたかが、よくわかる一枚。かっこよすぎ!




以下、ストーリー解説

物語はしんのすけが家でテレビを見る場面から始まる。
劇場板アクション仮面の予告を眺めるしんのすけ。強敵を前に、アクション仮面は絶体絶命の危機に追い込まれる。
そこで流れるテレビCM。
“アクション仮面と一緒に豪華客船で南の島へ行こう。船内にてアトラクションと映画の先行ロードショーがあるよ。”
こんな魅力的なCMをみて騒ぎ出さない子供はこの世にいない。
「へんたいだ!アクション仮面が、ニレミアムだから、オートクルーズだゾ!」
そんな騒ぎの中、下校の時に流れるような寂しげな音楽と日本的な夕焼けの絵に変わり、オープニングへと移る。

オープニング曲
アクション仮面としんのすけがデュエットする、なんかヘンな歌詞の歌。犀だらけ埼玉〜♪


場面は春日部が舞台から一転して、海上の豪華客船へ。
くつろぐ親御さんたちとプールであばれる小僧ども。
夕暮れ時、アクション仮面こと郷剛太郎がヘリコプターで空から登場。ブースターってのかな、ガンダムなんかで人間が背中にしょって空飛ぶヤツ、(ロスオリンピックの開会式で使ってたジェットで空飛ぶみたいなヤツって言った方がわかりやすいか)を使ってヘリから甲板へ舞い降りる剛太郎。
親御さんたちも含め、スタンディングオベーションで迎える一同。
つづいて、映画の上映会へ。

剛太郎にサインをねだる小僧ども。なんてうらやましい連中だ。
剛太郎にあいさつするしんのすけ。ボクはテレビシリーズはあんま見てないんだけど、しんのすけと剛太郎が会う話があったらしく二人は面識があるようだ。
ややこしいいんだけど、映画一作目ではアクション仮面は異次元からきた本当に実在するヒーローだったのに対して、今回のアクション仮面はテレビの中だけの架空の存在で、主人公、郷剛太郎を演じる役者は普通の人間となっている。
ようするに、映画の一作目の設定がリセットされているので、ヘタにクレしんを知ってるとかえって設定にとまどってしまう。
かくいう、ボクがそうでした。

上映会の開始。
そして、甲板に忍び寄る不吉な影。それはサルの群であった。
静かに操縦室へ忍び込み、静かにクルーを抑えつけるサルども。
映画館にもはいりこむサルたち。大胆かつ見事な手際で館内の大人達を抑えつける。
船内にいるすべての大人はサルたちと共にいずこへと消える。
とり残されたまま、うなだれる子供たち。
夜が明けて、船の上から島を見つめる子供たち。
「待つのも飽きたし、ぼちぼち行きますか。」
と、しんのすけ。あんまりらしくないセリフ。
大人達を探しに行くことを決意する春日部防衛隊の連中。ただし、ひまわりとシロはお留守番だゾ。
ジェットスキーにのりこむ防衛隊。
子供にはムリだ、とたしなめる風間君を尻目に、いともたやすくエンジンをかけるボーちゃん。
でも、しんのすけは操作が分からずアクセル全開のまま浜に突っ込む。まんがだから死なない。
ジャングルを進む一行。
暑さにブチ切れて暴言を吐いたり、隊長は誰が務めるかでケンカになったり、コーラじゃなくて醤油だったり、イロハオエーだったりで、ジャングルを抜ける。

あたりを見渡すために、高台にたつ一行。
壮大な南の島の夕焼け。
廻りを見渡し状況をうかがうマサオくんと風間くん。
あまりにも雄大な南の島の夕日に圧倒されて、ほーっとして夕日を眺める、しんのすけとネネちゃんとぼーちゃん。
うーん、海の男のロマンだねえ。
でも、ぼやぼやしてるから、夜に、「なっちゃったね。」
で、洞穴で一夜を過ごそうとする一行。

火を囲んで、これからのことを話し合う一行。
「あったかくはないけど、火があるとホットするね。」
シャレかい? しんのすけに問われて意味がわからず考え込むマサオくん、ちょっとおもしろい。
怖い話をし始めたところに、ひまわりとシロが現れる。
みんなに会えて安心しておお泣きする、ひまわり。おもわずもらい泣きしそうな、みごとな泣きっぷり。うんうん。
翌朝、ひまわりとシロをつれて、さらに奥地へと進む一行。

崖から落ちて、川に落ちて、滝から落ちる、という冒険活劇の黄金パターンをなぞる。
這い上がってきた場所にはバナナが密集していた。
バナナを食いあさる一行。だが、そこはじつはサル達の縄張りであった。
サルに取り囲まれる一行。
サル達に抵抗するも、みんなは捕まってしまう。ただし、ひまわりの泣き声のおかげで、しんのすけとひまわりだけは、なぜか捕まらずにすむ。
別行動となったしんのすけとひまわりは、サルが操るトロッコに忍び込む。
トロッコが向かう先は、サイケなペインティングで施された難破船であった。

一人の謎の男があらわる。
甲板から飛び込み台のようにせりだした板があり、板の先には便器が取りついている。
謎の男はゆっくりと板の上を歩み、チャックを下ろし、小用をはたす。
うつくしい虹がかかる。
謎の男は、タバコの火でダイナマイトに火をつけ、くわえていたタバコ、3本を一気に吸いこむ。
そして、おもむろにダイナマイトを海に放り投げる。
「うーん・・・ッダイナマイッ!」
ダイナマイトの爆発で失神した魚をサル達が網ですくっている。
そして、きびすを返す謎の男。
なんてカッコイイんだ。
このめちゃくちゃイカス、かっこマンは一体何者なのか・・。

しんのすけは、いよいよ敵の本拠地へと乗り込んでいく。

敵本拠地へ潜入したしんのすけ。
吹き抜けになってる通路に指しかかったとき、上からステージが降りてくるのを目撃する。
ステージの上には、そう、先程現れた謎の男。
この男こそが今回の敵役にして最高の主役、パラダイスキングだ。
70年代ルックをドギツク、極限まで悪趣味にした服装。
星型のサングラス。そしてアフロ。
流れるミュージックは、カンフーファイティング。
暗闇の中スポットを浴びて、サル達の振りつけ、女性のマネキンに囲まれて踊るパラダイスキング。
エブリバディワンカンフーファイティング♪(ハッ!)
ふ〜、登場はこの曲に限るぜ。
なんてえーかっこいいんだ。
この登場シーンをみた、しんのすけの反応がまたいいんだ。
こんな場面だったら、しんのすけはいかにも、「へんなオジサン・・」とか「変態さん?」とか、冷ややかなツッコミをいれそうなところだけど、しんのすけは奇異なもの、未知のものを垣間みて、ただただ、「ほお〜う。」と、感嘆するのがいい。

一方、捕まった大人達はパラダイスキングの奴隷としてこき使われていた。
女はレストランでサル達の食事作り、男はパラダイスキングの銅像を建設またはパラダイスキング、マンセーなアニメを製作させられている。
かっこいいなあ、パラダイスキング。
それに反抗したもの、または仕事に失敗したものは縛られてロッカーに放り込まれる。
ロッカー室に通りかかったしんのすけは、ロッカーに放り込まれていた、ひろしとみさえ、他の人間達を救い出す。
大人達をロッカーから救出することには成功したが、縛られたロープを外すことが出来ない。
「こうやってお尻だけで歩けばいいんだぞ。」
ケツだけ歩きを提言するしんのすけ。
当然却下するひろしとみさえ。だが、そこに同意する男がいた、「いや、ナイスなアイデアかもしれん。」、船長!?むむ、ナイスミドルだ。
オラオラオラオラ・・・
ケツだけ歩きの行進。
それをみたサル達がなぜか異常に怯えだす。
「人間様をなめるんじゃないわよ、エテ公ども!」
みさえのこのセリフがサイコー!
サル達の弱点を得た一行は次々と捕われている人達を助け出す。
そして、膨れ上がるケツだけ歩きの大行軍
オラオラオラオラオラオラ・・・

なんという見事なバカバカしさか。
不覚にも爆笑だ。
ほどよく脳みそが溶けていくのが分かる。もう考えるのやめた

船の乗客・乗組員、全員を救出した一行は、パラダイスキングのいるスタジアムへと辿り着く。
スタジアムの中央、サルの大群が取り囲む中、アクション仮面とパラダイスキングが対峙している。
パラダイスキングが、アクション仮面に向かって格闘技経験を問いかける。
「柔道三段、空手二段、ムエタイ、少林寺、サンボ、骨法、ブラジリアン柔術、カポエラも少々。」
こういうセリフ一つで、監督が好きモノであることが分かってしまう。
一般人には、サンボやカポエラはともかく、骨法なんて名称はそうそう出てくるものではない。
しかもグレイシー柔術といわずに、ブラジリアン柔術といっている点に着目したい。
有名なグレイシー柔術は柔術の一流派の名称であるから、この場合のように競技の総称を連ねるときはブラジリアン柔術と言う方が適当なんだ。
もうちょっと説明しとくと、柔術にも二種あって、ブラジルで独自に進化、発展をとげた柔術と日本に古くから伝わる古流の柔術とがある。
この二つはまったくの別物だから、両者を混同しそうな場合は前者をブラジリアン柔術、後者を古流柔術と呼び分ける。

アクション仮面とパラダイスキングの格闘が始まる。
突き蹴りで攻撃するアクション仮面、だがパラダイスキングにはことごとくかわされる。
強い。
「しょせんは、お上品なスポーツ格闘技。・・・ぬるいな。」
パラダイスキングは自分の過去を語り始める。
「ま、いろいろあって、日本を離れてのんびりしようと南の島へとやってきたわけさ。だが、そこにはサルどもがいたんだ。」
それで、来る日も来る日もサル達との闘いを繰り広げ、とうとうサルどもを屈服させボスとして君臨したのだという。
「俺こそが本当のヒーローだ。」
自身の傷あとを指でなぞりながら説明するパラダイスキング。セクシーだ。

それにしても、うーん、この非常に性質が悪いというか、己を省みることのない、全くこりない性格は覚えがある。
パラダイスキングのモデルは松田優作だとパンフレットには書いてあったが、どうも違うな。・・・そうだ!
こいつはエスパー魔美に出てきた、結婚詐欺師だ。









「エスパー魔美」 小学館 マンガくんコミックス サブタイトル:恋愛コレクター 5巻P.143より、引用
どうです、ネ、ネ、カッコイイでしょ?じゃなかった、似てるでしょ


ルックスといい性格といい、こいつにそっくりじゃないか。
原監督はかつて、エスパー魔美の製作にたずさわっていた。
間違いない。原監督はエスパー魔美の製作で、こいつをみて惚れ込んでしまったんだ。
この結婚詐欺師銀河王先生といえば、エスパー魔美のなかでも抜群の人気を誇るキャラクター(ボクの脳内キャラクター人気投票による。世間様の認識とは若干のズレがあり。)、原監督がこいつを主役にしたアニメを作りたいと思いたったとしても不思議はない。

パラダイスキングのモデル=エスパー魔美に登場した結婚詐欺師

この説は、サイエンス・エンターテイナーちょもすけの説として、1ガロン10ポンドのスコッチのサイトをとおして、世の中へ正式に公表するものです。




また一つ、不思議の謎が解けたところで、本題へ戻ろう。

パラダイスキングの攻撃が始まる。
剛太郎は手も足も出ず、一方的にやられてしまう。
「ああ・・ダメだ。」
おもわず、嘆息をもらす、ひろし。
「ダメじゃないぞ。おバカ!もっと応援するんだぞ!」
しんのすけが怒って、ひろしに叫ぶ。気持ちはわかるが、実際はひろしのいう通りだろう、本物の格闘において一度傾いた形勢が覆ることはまずありえない。
矢もたてもたまらなくなって、アクション仮面の元へ駆けつけるしんのすけ。
しんのすけが早くアイツをやっつけてくれ、と懇願するも、ふたたびダウンを喫した剛太郎はしんのすけに謝りをいれる。
「やあ、ごめんよ。しんのすけ君。」
どこか自己陶酔的な物言い、完全に気持ちが折れている。
パラダイスキングが歩み寄り、しんのすけに問いかける。
「どーだあ〜?そんなインチキヒーローなんかのファンはやめて、オレ様のファンにならないかあ? オレこそが本当のヒーローだ。」
だが、しんのすけは、パラダイスキングの問いかけを強く拒否する。

「ヤダ! 正義の味方は強いんだゾ!カッコイイんだゾ!今はやられてても、最後には絶対勝つぞ!お前みたいなバクハツ頭には負けないぞ!」

涙目で訴えるしんのすけ。それを、目の覚めるような想いで見上げる剛太郎。
彼の目に魂がやどる。
勇気が沸き起こる。
立ち上がった剛太郎、いや、アクション仮面がそこにいた。
アクション仮面は架空の存在じゃない。
信じる心が人をヒーローにする。

「しんのすけ君。ここは危ないから離れているんだ。」
優しく諭すアクション仮面、だが先程のようなヒロイックな感傷はすでにない。
アクション仮面の突き、蹴りに気持ちがはいりはじめる。いいぞ!
これまで意気消沈していた船員や乗客達に勇気が伝わる。スタジアム全域がサルの大群で占められるという異様な雰囲気に圧されて、これまで会場の隅で遠目から見ていたみんなが、スタジアムの中央へ駆けつける。

「おや、おや、ドレイどもが集まりだしたぜ。」
パラダイスキングの冷やかしを受けて、辺りを見る。
いつのまにか乗客全員がリングサイドに押し寄せていて、皆が力いっぱいアクション仮面を応援している。剛太郎は、まるで奇跡でもみるかのような目でその光景を見渡す。
彼の胸に無限の勇気が沸き起こる。
本当のヒーローとは、つまりは、そういうことなんだ。
パラダイスキングのパンチがまたもやヒットしてダウンしそうになる。懸命にこらえ踏ん張り、そして、アクション仮面が雄たけびを上げる。
ウオオオオ−ッ!
観客の中に感極まって嗚咽をもらす男が写される。この男はボクだ。
筋書きがあるとかないとか、あれはガチでよ、とかあれはヤオじゃないかとか、ごちゃごちゃうるせーッ!本当の真実ってのはそんなもんじゃねーんだッ!
ドラマは人間が作るんだよ。
はあ、はあ、・・失礼。関係ない話をした。
しだいにいらつきだすパラダイスキングに、アクション仮面は見事な足技で、初めて一矢報いる。
「カポエラも使う、といっただろう。」
それをいうなら、引き込んで、抑え込んで、チョークで決めて、「ブラジリアン柔術も使う、といっただろう。」ってやれば、こんなに苦労しなくても勝てるんじゃないか、なんていうツッコミは拒否だ。

形勢不利と見たパラダイスキングはサル達を動員しようとするが、乗客達のケツだけ歩きでサル達を見事にしりぞける。
怯えるサル達の前に群がり怒りをあらわす乗客達。
穏やかでない空気を感じ取ったひまわりが、泣き出してしまう。
「だぁ〜め〜!」
ハッと、我にかえる乗客達。
たしかに、いまさらサル達をいじめたところでどうにもならない。でも、このままにもしておけないし、どうしたらいいのか・・・。悩む一同。
「オラにいい考えがあるゾ。」
シロを頭にのせて、パラダイスキングのポーズを取るしんのすけ。
「おサルさんたち、もう悪いことしちゃ、ダメ!森へ帰ってこれからは仲良く暮らすんだゾ!」
しんのすけに、後光がさす。
しんのすけの言葉に強くうなづき、森へ帰っていくサル達。
ふと、みるといつのまにかパラダイスキングがいなくなってる。
でも、どうせもう何もできやしないだろう、とヤツのことはもうほうっておいて、一同は皆、客船へと戻ることにする。

航海の再開。
ふたたび平和な空気が流れる。
甲板で海を眺める、ひろしとみさえ。
ふと眺めると、海の向こうから飛行機らしく物体がこっちへ向かっている。
パラダイスキング!?
ヤツが向かってくる。小型の飛行機を操り、ダイナマイトを数多く携えて。
「ふんふふふんふーん、ふんふふふんふーん。」
地獄の黙示録の鼻歌を歌いながら、あえて船の周辺にダイナマイトを放ち威嚇する。
なんという性質の悪さ。
サイコーだ。
剛太郎がふたたび立ち上がる。
しかし、相手は空からの攻撃。
どう迎え撃てばいいのか。
剛太郎の脳裏に、親友、不動明の言葉がよぎる、「マジンガーZは空からの攻撃に弱い。オレなら、マジンガーZを空から攻めるね。」。
ハッ、そうかオレにも、空を飛ぶ新兵器、ジェットスクランダーに替わる何かがなければヤツには勝てない。
そうだ! あれがある、アトラクションの登場のときに使ったブースター。あれで空を飛ぶんだ!
実際には、こんな回想はなかった、っつーか、剛太郎に不動明なんて親友はそもそもいませんが、とにかく空を飛べる何かを必要と感じた剛太郎は、ブースターを背負い、空から迎え撃たんとした。
それと、しんのすけも主役だから、一応オマケでくっついてくる。

激闘の末、アクション仮面(と、しんのすけ)は、パラダイスキングを失神させる。
飛行機を乗り捨て、しんのすけとアクション仮面、それとパラダイスキングを連れて、甲板上のプールへジャンプ!
ショックで目を覚ましたパラダイスキングはなおも抵抗しようとするが、乗客達がプールの廻りに取り囲み、パラダイスキングを睨みつける。
とたんに、しおらしくなって、今度こそ降参するパラダイスキング。
そして、アクション仮面の勝利の高笑い、ワッハッハッハッハ!


激闘すんで、子供達と親御さん達は、ようやく中断されていたアクション仮面映画の続きをみる。
続きは、アクション仮面は強敵怪人を前に絶体絶命のピンチで、しかもミミ子ちゃんをつないでいたロープが切れて溶岩に落ちようする場面からだ。
さあ、どうなるのか?
ミミ子ちゃんが落ちようとする寸前、何者かの手がロープを掴んだ。
アクション仮面だ!
ピンチにあったアクション仮面が一体どうして?なんとやられていたと思われたアクション仮面は実は変わり身の術で木と入れ替わっていた。
そして、アクション仮面の新兵器の登場。
小林幸子風パワードスーツだ。
「小林幸子ミレニアム、ビィ〜〜イ〜〜ム〜〜。」
新兵器により、悶絶する怪人。
「ぐおおおー!あの衣装は伊達じゃなかった−・・・。」
めでたし、めでたし。

よろこぶ子供達、顔がひきつっている親御さん達。
そして、悶絶するこの映画そのものを見ている観客達。
上映会の後、甲板で野原一家が海を眺める場面でエンディング。

エンディングでは、楽しい楽しい南の島のレジャー気分を存分に味わえて幸せな気分のまま幕を閉じる。


さて、ジャングルを振りかえってみて、同じような画だけど対照的な場面をつくって、見事に遊ばせてくれたなあって思う。
最初のアトラクションでアクション仮面が登場した時、大人も子供も一緒に応援していた。スタジアムでのパラダイスキングとの格闘でも大人達がアクション仮面を応援する。
最初は、見る者は子供モードに切り替えてアトラクションにおけるお約束の世界を温かい目で見ているわけだ。一方、パラダイスキングとの格闘の場面では、大人モードに切り替わって、それゆえにヒーローを信じきるしんのすけの言葉に魂を揺さぶられ、本気でアクション仮面を応援するわけだ。
それで最後は、また子供モードに戻って予定調和の世界である劇場板アクション仮面を楽しもう、と思ったところで、予定調和の世界を逆手にとりまくった、突き放したギャグが待っているという。天才か!?
こうした大人モードと子供モードをうまく使い分け、時に複合させて、感動を生み出していくというスタイルは、ジャングルで初めて明確になって、オトナ帝国へ継がれている。

ジャングルという作品は、本来のお客さんである子供がしっかりと楽しめて、オニーサンやオネーサンがあまり寄ってこなくて、でも大人モードで見て確かに面白く、しっかり楽しめるという、居心地の良さではシリーズ中ピカイチのものでした。

最後にもう一言。パラダイスキング、サイコー!



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