仮面ライダー555(ファイズ) 総括  2004/2/1


1月18日に最終回を迎えた仮面ライダー555の総括です。

 

予想通り…というか予想以上に尻切れトンボの最終回でした。
ちりばめられた謎うんぬんというよりキャラクターに対する決着がついていないのは、キャラクターの魅力で見せてきた本作にとって非常に大きなマイナスです。

また、個人的感想ですが、前作の龍騎とえらく対照的だなと思ったのは劇場版と最終回との関係です。
龍騎が最終回を先に見せるというのを映画のポイントにしたのにもかかわらず、ちっとも話が終っていなくて、テレビシリーズの最終回の方が各キャラクターの決着をきれいに纏めているのに対して、全く違うパラレルワールドのストーリーとした555劇場版の方が各キャラクターへの決着の付け方という点ではテレビシリーズの最終回より優れていると思うんですよね。

特に問題なのが、もう一人の主役たる木場勇二の存在。
劇場版があくまでも木場と巧の関係に重きをおいて、最終決戦では人類代表の巧(555)対オルフェノク代表の木場(オーガ)という二人のライダーの対決という見事な集約を見せるのに対して、テレビシリーズでは「オルフェノクの王」の登場によって巧対木場の構図が崩れてしまい、最終回でも対立するのか共闘するのか中途半端になってしまいましたから。劇場版で対立の方を既に描いているのだからテレビシリーズは共闘でもいいとは思うのですが、一旦裏切っておいて(又は裏切ったと見せかけて)最後に協力するというカタルシスを描くには木場の裏切りがちょっと遅すぎました。

さて、ここで自分なりにこの555という作品はどういう作品だったのかというまとめをしておいて、その上で最終回はこういう風にして欲しかったというストーリーを書いてみようと思います。
勿論解釈が見当はずれである可能性もありますし、前々自分の考えとは違うというご意見もおありでしょうが、まあ、自分的にはこう感じられたということで…。



キャラクター紹介

ファイズグループ
乾巧…本編の主人公。真理からファイズのベルトを託されたことでオルフェノクとの戦いに巻き込まれる。その正体はウルフオルフェノク。
園田真理…流星塾の生き残りの一人。花形からファイズのベルトを託された。オルフェノクの因子を注入されたが、覚醒しなかった純粋な人間。
菊地啓太郎…菊地クリーニング店の店主。巧、真理の友人。

オルフェノクグループ
木場勇二…交通事故にあい、ホースオルフェノクとして覚醒した。人類とオルフェノクとの共存を夢見てスマートブレインに対し反抗した。が、後に人類に絶望しスマートブレイン社社長に就任。オルフェノク側に立つ。しかし、最終回では巧と共闘、オルフェノクの王を倒すため犠牲になる。
長田結花…クレインオルフェノク。木場の考えに同調し、行動を共にする。実は結構な数の人間を殺しており(本当にクズばかりだが)、スマートブレイン側からは裏切り者とはされていない。警察に目をつけられ迫害されたところを冴子に殺される。
海堂友也…オルフェノクに殺されたことによりスネイクオルフェノクとして覚醒した。なんとなく木場たちと行動を共にしているように見えて、本心では自分の理想(人類とオルフェノクとの共存)のために苦悩している木場を尊敬している。

流星塾グループ
花形…スマートブレイン社の前々社長にして流星塾の創立者。全ての鍵を握る人物。その正体はゴートオルフェノク。オルフェノクとしての寿命を迎え死亡。
草加正人…カイザのベルトを操る。流星塾の生き残りの一人。真理を真剣に愛している。そのため色々と画策していたが、最後はカイザに変身した木場に殺された。
三原…流星塾の生き残りの一人。なしくずしにデルタのベルトを操ることになる。
里奈…流星塾の生き残りの一人。三原と行動を共にしている。
澤田…オルフェウスに覚醒し、人間としての未練を断ち切るために真理を殺そうとした。しかし、最後は真理をかばって死亡する。

スマートブレイングループ
村上…スマートブレイン社前社長。その正体はローズオルフェノク。オルフェノクによる人類支配を夢見ていたが、花形の巻き返しにより、スマートブレイン社の社長の座を追われる。最後はオルフェノクの王に食われ死亡する。
ジェイ…最強のオルフェノク部隊、ラッキークローバーの一人。クロコダイルオルフェノク。3つの命を持っていたが、最後は巧に倒された。
琢磨…ラッキークローバーの一人。百足オルフェノク(すいません、英語名がわからない)。最後は人間として生きることを選ぶ。
冴子…ラッキークローバーの一人。シュリンプオルフェノク。眠りについた王と共にいずこかに潜伏する。
北崎…ラッキークローバー最強の男。ドラゴンオルフェノク。パワー重視とスピード重視の2つのオルフェノク形態を持ち、その戦闘力はすさまじかったが、琢磨と冴子の裏切りにあい敗北、死亡する。
照夫…ビル火災の現場から海堂に助けられた少年。自分の意思とは 無関係にオルフェノクの王として覚醒しつつある。最終回でオルフェノクの王として覚醒するが、巧たちの攻撃にあい眠りにつく。

用語解説
スマートブレイン社…近年急成長した総合商社。社長(花形、村上)の意向によりオルフェノクの研究、スカウトを秘密裏に行っている。そのためオルフェノクの巣窟のように思われているが、実際にはそうとは知らない者も内部に多数存在する。
流星塾…花形がオルフェノクの素養を持った人間を見つけるため、大事故で生き残った孤児を集めて作った孤児院。後に村上の策略によりメンバーの殆どが惨殺される。
ファイズのベルト…花形が開発した、やがて生まれるであろうオルフェノクの王を守るためのベルト。オルフェノクでなくては装着・変身できない。
カイザのベルト…ファイズのベルト同様、オルフェノクの王を守るために開発された。人間にも装着できるが極度に生命エネルギーを消費し、悪くすると1度の変身で死亡してしまう。
デルタのベルト…人間にも装着でき、装着後は、その人間にパワーを与える。このベルトのみ作中でオルフェノクの王を守るためと言及されていない。



まず、テレビシリーズのファイズが始まる以前の部分について考えてみましょう。
花形が殆ど何も語らず消えてしまったので、あくまでもこれはテレビを見た上での自分なりの解釈であり、自分の希望するストーリーなのですが。
全ての発端となったのは花形。彼が流星塾を作ったのは自らがオルフェノクとして覚醒したからである。
自分と同じような人間を見つけるために、また、スマートブレイン社社長という立場を利用して、オルフェノクとして覚醒していながら正体を隠している人物も見つける。
村上もそのうちの一人であった。
この時点では花形はオルフェノクが人類の進化形だとは思っていても人類を抹殺しようとは思っていなかったと思う。
同時にオルフェノクが人間を殺すとその人間に素養があればオルフェノクとして蘇ることも知らなかっただろう(知っていれば流星塾などという悠長なまねはしない)。
しかし、その後花形は重要な事実に気付く。オルフェノクは繁殖できないという…(テレビでは体が崩壊する表現がされ、それを防ぐことができる能力を持った者がオルフェノクの王としてかかれていたが、そんなこと想像でしかないし、自分の体でそれを実感してからの行動だとしたら早すぎる)。
オルフェノクが種として確立するには繁殖可能な固体が必要だ。その固体こそ「オルフェノクの王」である。
だが、その固体が人類に始末されたり、アクシデントに巻き込まれたりすればオルフェノクの未来は閉ざされる。
そこでオルフェノクの王を守るために作ったベルト、それがファイズとカイザのベルトである。
だが、自らがオルフェノクとして目覚めて、10年が過ぎても王は生まれる気配がない。
その間に花形の心理が変化する。
「オルフェノクと人間は共存するべきではないのか」、「オルフェノクはやはり人類の変異体であり、滅びるべき存在ではないのか」そう考え作ったのが王を倒すためのベルト、デルタである。
だからこそこのベルトは人間にも装着可能なのだ。
しかし、今更この考えを認めるにはオルフェノクは増えすぎてしまった。
村上はクーデターを画策、花形を追放し、北崎に流星塾生を襲わせる。

ここまでがファイズの前史。
この後テレビシリーズで花形にファイズのベルトを託され、逃げるように言われた真理が巧と出会い、花形の期待通りオルフェノクと戦ってくれた訳だ。
次に草加について考えよう。

草加も色々と謎めいた行動をしたまま死んでしまったので、その根拠については想像するしかないが、まず、彼はオルフェノクだったのだと思う。
根拠は(巧、木場、海堂、琢磨といったオレフェノクしか変身に成功していない)ファイズに変身できたことだが、何故彼は最後までその本当の姿は見せなかったのか。
それは勿論真理に嫌われたくなかったからである。
以下、想像。

同窓会の日、北崎に襲われ、流星塾生は自分以外全て殺されてしまった。この時草加のみオルフェノクとして覚醒し、その場を逃げ出したが、真理を守れなかったということが草加のトラウマとして残った(または、オルフェノクとしての覚醒直後は理性を失うようなので、真理を手にかけたのは草加本人だったのかもしれない)。
その後、死んだはずの流星塾生は村上の指示でオルフェノク因子を埋め込まれ、蘇生するが(勿論これは慈悲などでは無く単なる実験として)、澤田以外は全てオルフェノクにはなれなかった。
更に彼らは同窓会の日の記憶を失っていた。草加は死んだはずの真理が生き返って自分を訪ねてきただけでなく、同窓会の日のことを皆忘れていると聞き、カイザに変身し、真理を守ろうとする。
しかし、その時の真理には巧、木場という男友達がいた。草加はこいつらを何とか真理から遠ざけようとするがうまくいかない。
それどころか二人ともオルフェノクであったにもかかわらず真理は態度を変えようとしない。
そこに自分の秘密を知っている(かもしれない)澤田が現れた。
ラッキークローバーと戦い傷ついた澤田に草加が止めをさしたのは口封じのためである。
彼のオルフェノクに対する異常なまでの嫌悪は自分の体がそのような異形のものになっているということへの怒りだろう。
結局彼は自分が落としいれようとした木場の手にかかり殺される。
それは自業自得ともいえるかもしれないが、真理に対する思いだけは本物だったのだろう、ベルトを失った状態でもオルフェノクの姿にならなかったのだから。
同窓会の日についてひとつ謎が残るのは真理が塾生を惨殺した犯人がオルフェノク形態の巧であると記憶していたことだが、これまた村上が言わないまま死んでしまったので想像だが、村上の命令で医者が植え付けた記憶だろう。
その前後、村上が巧をスマートブレイン社にスカウトしていたことから、人類に対する未練を取り除いてやろうという考えだったのではないだろうか。

オルフェノクの姿と人間の時の姿の関係も面白い。
(おそらくは)最初のオルフェノクであり、最終的には人類のために働き死んでいった花形は生贄の代名詞である山羊。
オルフェノクからも人からもはぐれていた巧は狼。
ラッキークローバーが鰐、百足、海老、龍というのはじつはキカイダー01のハカイダー4人集のオマージュなのだ。
しかしここで気になるのが木場たちだ。馬、鶴、蛇は何を表すのだろう。
蛇は照夫をたぶらかしたから?鶴はその献身的な態度から「夕鶴」?

物語序盤頃からこの物語のテーマは『コミュニケーション』だといわれてきたが、なるほど、少しでも心を開いて話し合っていれば起こりもしなかった事件がこの物語にはたくさんある。
特に主人公の巧には。しかし、彼が少年の頃に既にオルフェノクとして覚醒していたという事実を鑑みれば、コミュニケーションが苦手であっても仕方がないことだろう。
これは木場や草加にもいえる。結局純粋な人間だった啓太郎などはうるさすぎるほど話好きだったのと対照的に(そういう物語の変身ツールに現代人のコミュニケーションの源である携帯電話を使用するというのもまた象徴的か)。
ただ、全話観終えた段階でいうと、そこまで綿密にストーリーを構築した上でのセリフかどうか怪しい個所があるのは仕方がないというべきか。
監督と脚本家はともかく、役者、半田健人はそのことを知ったのは直前だとインタビューで言っていたから。

終ってみると思い浮かぶことは他にもある。
巧が戦う理由をなかなか見出せず、行動的になれなかったこと。
これも自分自身がオルフェノクで、罪もない人々を脅かしているとはいえ、自分と同類を倒すことに積極的になれるはずがないから。
しかし、最後には結局木場も巧もそれぞれが自分の使命を全うしたいかにも『石ノ森』テイストにあふれた物語であった。
そう、「仮面ライダー」も「変身忍者嵐」も「人造人間キカイダー」も人類のために自らを捨てて、自分の同類と戦う物語だったのだから。

やはり、物語的には劇場版の関係がベストだったと思う。
第1話から対照的に描かれ、時には対立し、時には心を通わせた巧と木場が人類とオルフェノク双方を代表して戦い、実は木場はオルフェノクとしての罪を清算するために巧に倒されることを選んだという関係が(石ノ森テイストといったが、この二人の関係はむしろ原作版デビルマンの不動明と飛鳥了に近い)。
しかし、オルフェノクの王というもっと巨大な力の前に共闘するというのも悪くはない。
その場合はスマートブレイン社社長の座についた木場の姿をもうちょっと描いて欲しかった。
オルフェノクを優先し、人類のオルフェノク化を計る施策とか、スマートブレイン社に逆らうオルフェノクへの制裁とか。
で、その裏ではそれに対するフォローをしておいて、最後の最後でラッキークローバーを裏切るシーンが見たかった。
実はアニメでは既にテレビシリーズでこれに近い物語は存在する。
日本サンライズ製作のロボットアニメ「蒼き流星SPTレイズナー」という作品だ。
この作品も構造的に555に良く似ている。
グラドス星という異星の侵略により地球が侵略される物語で、侵略されるまでが第1部、侵略されてからのレジスタンス活動が第2部として描かれたのだが主人公エイジは本来支配者階級であるグラドス人なのだ。
そしてレジスタンスとして戦う地球人に対し、かつての仲間ロランはグラドス人に取り入り、地球人ながら軍司令部の重要なポストを任されるようになる。
そこにたどり着くまでにロランは自らの命令で同胞であるレジスタンスのアジトを襲撃させたり(その一方で今日攻撃が有ると情報をリークしてもいるのだが)、地球の文化遺産を破壊したりするのだ。
しかし、最終決戦の日、司令官であるル・カインが戦場に赴き、残された軍司令部の指揮をとるよう言われたその時、全軍の武装解除を命じるのである。
この物語が上手いのはロランは最終的には地球人としてル・カインを裏切るが、個人的にはル・カインという男を決して嫌ってはいないという点である。
木場がスマートブレイン社社長に就任するという話を観た後、すぐに思い出したのはこの物語だった。
北崎や冴子、琢磨らラッキークローバー、そしてオルフェノクの王を欺き、助けに来た木場。巧、三原そして木場のトリプルライダーがオルフェノクの王に立ち向かうというシーンが見たかった(実際の最終回にもこのシーンはあったが、結局木場の本意がわからないままなので突然気が変わってやっぱり巧の味方をしたようにしか見えなかった)。

と、まあ最終回に対する不満をつらつらと書き綴ってしまったが、この作品、観ている最中はものすごく面白かったことは間違いない。
複雑に絡み合った人間関係と要所要所で登場する癖のある新キャラ。そして、石ノ森テイストにあふれた異形の物を扱ったストーリー。
いや、逆に言うと最終回まではっきりとストーリーが完成していたらこのライブ感覚にあふれた中盤までの面白さはなかったかもしれません。
もうちょっとでマイフェイバレットになったかもしれなかった作品、それがこの仮面ライダー555という作品に対する自分の評価とさせてください。



ついでに1月25日に放送が開始した『仮面ライダー剣(ブレイド)についても少し。
一言で言うと詰め込みすぎ。
二人のライダーの戦い方と変身を解いたあとの生活、味方の組織、ライダーの都市伝説を追うライター希望の青年、その青年の姉の家に下宿する第3のライダーらしき青年、先輩ライダーの裏切り、モンスターの謎等々。
特に最初の戦闘なのに洞窟の中での戦いのため、各ライダーのデザインの細部がわからないことや、モンスターについての説明不足、キャラクターについて愛着が沸く暇もないのに先輩ライダーの裏切りなど何が起こっているのかさえわかりません。
この第1話、なーんかどっかで見たことあるなあ、と考えて思い当たりました。
「機動戦士ガンダムSEED」の第1話にそっくりなんです。
特に説明が足りなくて現在何が起こっているのかわからない点とイケメンお兄ちゃんがいっぱい出て誰が誰だか見分けがつかない点が。
先行きがメチャクチャ不安ではありますが、とりあえず見続けて見ましょう。
あ、トランプのカードアクション(きれいに扇状に広げる)風の武器はかっこいいです。
おもちゃでも本当にできるみたいだし。



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